薬理学的に不活性な添加剤は医薬原体 (API)の薬物キャリアとしてよく利用されており、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)やポビドンのような高分子が一般的にはよく使用されています (固形分で30-80 %)。このような高分子添加剤は分子量が非常に大きいため品質管理方法に通常多用されるLC-MSでは分析できません。そこで今回LC-IRを適用して分析しました。その結果、多様な薬物中に存在する高分子量添加剤の特性評価が可能になりました。
ここでは、OHpak SB-806M HQを用いサイズ排除クロマトグラフィーによって高分子量添加剤と医薬品中間体の分離を行いました。この分析では分子サイズの大きさで成分を分離し各ピークをIRで検出しています。IRでは組成成分が持つ固有の性質の差に基づいてそれぞれのスペクトルを得ることが出来ます。この手法は医薬品生産の品質管理や薬物中成分の同定、定量, 偽造薬物検査などの分野に応用可能です。
図1. 試験用の薬物試料の分析例
この結果から薬物試料にはセルロース(Peak A; MW=~485 KDa)と2種類の異なる分子量を持つポビドン
(Peak A; MW=~485 KDaとPeak B; MW=~49 KDa) が高分子量添加剤として含まれていたことが分かりました。
図2. HPCの分析例
この結果から、2種類の分子量分布を持つHPCが含まれていたことが分かります。
(各分子量に関する情報は得ていません)
Sample :
Cellulose
Povidone
Hydroxypropyl cellulose, HPC
Column : Shodex OHpak SB-806M HQ (8.0 mm I.D. x 300 mm) Eluent : 1.5 % DMF/H2O Flow rate : 1.0 mL/min Detector : DiscovIR-LC™ Column temp. : 40 ℃
データご提供元:Dr.Ming Zhou, Spectra Analysis Instruments, Inc.
試料名インデックス
製品名インデックス
アプリケーションデータ
- 塩基性薬物の分析 (中性条件下)
- 塩基性薬物の分析 (溶離液pHの影響)
- 塩基性薬物の分析 (イオン濃度の影響)
- 溶離液pHによる溶出容量と理論段数の影響 (ODP-50 4D)
- かぜ薬中の成分 (1) (DS-613)
- かぜ薬中の成分 (2) (DM-614)
- 解熱鎮痛剤 (ODP-50 4D)
- 利尿剤 (1) (ODP-50 4D)
- 利尿剤 (2) (DE-613)
- 制ガン剤 (ODP-50 4D)
- 各種医薬品 (ODP-50 4D)
- 市販抗炎症剤 (1) (ODP-50 4E)
- 市販抗炎症剤 (2) (ODP-50 4E)
- スコポラミンとアトロピン
- テトラカイン (ODP-50 4D)
- プロカインアミド (1) (DE-613)
- プロカインアミド (2) (DE-413)
- プロカインとプロカインアミド (ODP-50 4D)
- メチルキサンチン類 (1) (DS-613)
- メチルキサンチン類 (2)
- 局所麻酔剤 (1) (ODP-50 4D)
- 局所麻酔剤 (2) (DE-413)
- キナアルカロイド
- ペニシリン系抗生物質 (1) (ODP-50 4D)
- ペニシリン系抗生物質 (2) (DE-413)
- サルファ剤 (DE-413)
- バルビツール酸類 (ODP-50 4D)
- バルビタールの検出感度に対する溶離液pHの影響
- オウレン末中のベルベリン (ODP-50 4D)
- 甘草末中のグリチルリチン (ODP-50 6D)
- サイコサポニン (ODP-50 6D)
- 大豆中のソヤサポニン (DS-613)
- ヘリコバクター・ピロリ除菌治療薬 (JJ-50 2D)
- マレイン酸エナラプリル (DS-413)
- テトラサイクリン系抗生物質 (ODP-40 4D)
- 低級アミンの分析 (ODP2 HP)
- ギンセノシド (ニンジンサポニン) (DS-413)
- ギンセノシド (ニンジンサポニン) (NH2P-50 4E)
- マクロライド系抗生物質の分析 (ODP-50 4D)
- リバビリン (KS-801)
- 糖尿病治療薬 (NH2P-50 4E)
- 経口型糖尿病治療薬のLC/MS/MS分析 (VC-50 2D)
- 感冒薬の同時分析 (ODP2 HP)
- スタチン類のLC/MS分析 (ODP2 HP-2B)
- メトホルミンのLC/MS分析 (NH2P-40 2D)
- ジンゲロールとショウガオールの分離 (C18M 4D)
- コンジュゲートワクチン分析の書誌情報
- 有機スルホン酸のLC/MS/MS分析 (VT-50 2D)
- 市販消毒薬中のアラントインの分析 (VG-50 4E)
- アミノグリコシド系抗生物質のLC/MS分析 (VC-50 2D)
- リバビリンのLC/MS/MS分析 (VC-50 2D)
- サラシアエキスのLC/MS/MS分析 (1) (VC-50 2D)
- サラシアエキスのLC/MS/MS分析 (2) (VT-50 2D)
- ポリマー系とシリカ系アミノカラムを用いたグルコサミン塩酸塩の分析の比較
- ストレプトマイシン類のLC/MS分析 (VC-50 2D)
- シチコリンのLC/MS/MS分析 (VT-50 2D)
- リラグルチド製剤のSEC分析 (KW-802.5)
- 抗体薬物複合体のSEC分析 (LW-803)
- 含糖酸化鉄注射液のSEC分析 (SB-804 HQ + SB-802.5 HQ)
- サプリメント中のα-GPCの分析 (NH2P-50 4E)
- リツキシマブのSEC分析 (LW-803)
- リツキシマブのトリプシン消化物の分析 (C18U 2D)
- PEG化キモトリプシン (KW-802.5)
- PEG化アスパラギナーゼのSEC分析 (SB-806 HQ)
- マクロライド系抗生物質のLC/MS分析 (C18U 2B)
- フィルグラスチム製剤のSEC分析 (KW-803)
- レボカルニチンの分析 (NH2P-50 4E)
- 医薬品添加物規格に準拠したイノシトールの分析 (KS-801)
- リセドロン酸ナトリウムの分析 (I-524A)
- イバンドロン酸ナトリウムの分析 (I-524A)
- ゾレドロン酸の分析 (I-524A)
- ホスホマイシンとその熱分解物の分離 (NH2P-50 4E)
- セマグルチド製剤の分析 (KW-802.5)
- 鉄カルボキシマルトースの分析 (SB-804 HQ + SB-802.5 HQ)
- 含糖酸化鉄注射液に含有するスクロースの定量分析 (VG-50 4E)
- カルボプラチンの分析 (NH2P-50 4E)
- セフタジジムとアルギニンの分離 (KW402.5-4F)
- ニカルジピン塩酸塩注射液の含有成分であるソルビトールの測定 (NH2P-50 4E)
- エテルカルセチド塩酸塩のSEC分析 (KW-802.5)