GPC LF-804での合成ポリマー分析 (概要)

1.LF-804の特長
2.クロマトグラムの比較;フェノール樹脂
3.溶離液の違いによるフェノール樹脂の溶出挙動 (1)
4.溶離液の違いによるフェノール樹脂の溶出挙動 (2)
5.溶離液の違いによるEPON1009の溶出挙動
6.EPON1009のDMF中での分子サイズ拡張

 

1.LF-804の特長
THFを溶離液に使用したエポキシ樹脂の分析例です。異なる排除限界分子量を持つカラムの組み合わせで分析したクロマトにはピークの変曲点 (ショルダー)が見られます。また、数種の充てん剤を較正曲線がリニアになるように混合したカラムでもこの試料の分析ではショルダーが現れています。Shodexではこのミックスカラムの欠点を克服するために単一粒子内に幅広い細孔径分布を持つ新しいタイプの充てん剤(細孔多分散型充てん剤 GPC LF-804)を開発しました。このカラムは分子量300~2,000,000という広範囲にわたり較正曲線の直線性が高いカラムです。この直線性はミックスカラムのように異なるポアサイズのゲルを混合したものではないのでクロマトグラムに不自然な歪みを生ずることなく分析していただけます。(Fig.1)



2.クロマトグラムの比較;フェノール樹脂
フェノール樹脂を分析するとLFカラムを使用した場合とKFシリーズのカラムを組み合わせて使用した場合での差が明確に出ます。排除限界分子量が異なるカラムを組み合わせた場合にクロマトグラムに歪みを生じた場合は正確な分子量分布曲線を得ることは難しくなります。LF-804はこのような較正曲線の歪みやクロマトグラムの落ち込みがありませんので安心してご使用いただくことができます。(Fig.2)



3.溶離液の違いによるフェノール樹脂の溶出挙動 (1);DMFと10 mMのLiBrを添加したDMF
DMFと10 mM LiBrを溶解したDMFの2種類の溶離液でフェノール樹脂を測定した結果です。DMFを使用してGPC分離を行う際に充てん剤と試料のイオン反発による排除や静電作用による分子内拡張が起きるのを防ぐためにLiBrを添加します。LiBrをDMFに添加して分析した場合、DMFを溶離液に使用した場合に比べてフェノール樹脂のピークトップが遅くなっています。このことからLiBrをDMFに添加した溶離液を使用することによりフェノール樹脂の正しいSEC分析が行われていることがわかります。(Fig.3)



4.溶離液の違いによるフェノール樹脂の溶出挙動 (2);THFと10 mMのLiBrを添加したDMF
フェノール樹脂をTHFと10 mM LiBrを溶解したDMFで分析した結果です。それぞれの溶媒より得られたクロマトグラムを比較するとTHF溶媒で測定したクロマトグラムのピークトップは10 mM LiBrを添加したDMFでのクロマトグラムより後に出ています。これはTHF中でのフェノール樹脂の分子サイズがLiBrが添加されているDMF中より少し小さいことを示しています。(Fig.4)



5.溶離液の違いによるEPON1009の溶出挙動
エポキシ樹脂EPON1009をTHF、DMF、LiBrを溶解したDMFで分析したRIのクロマトグラムです。各条件で対称性の良いピークが得られています。更に溶出位置はほぼ同じです。この結果からEPON1009の分析はDMF、THFのどちらの溶離液を使用しても同様のクロマトを得られることがわかります。(Fig.5)



6.EPON1009のDMF中での分子サイズ拡張
RI検出器を用いて溶離液にDMFのみとLiBrを溶解したDMFの両方でEPON1009を分析した結果はほぼ同じに見えます。しかしMALS検出器で分析した結果からはDMFのみを溶離液に使用した場合はLiBrを添加したDMFを使用した場合と比較して分布が広がっていることがわかります。この違いはDMF中で多少の分子サイズ拡張が起きている可能性があるということを示唆しています。(Fig.6)


 

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