ポリビニルピロリドン (4) (DMF溶媒: LiBrの添加効果) (KD-806M)

DMFを溶離液として極性高分子を分析する場合、ポリマー分子内のイオン性基同士が反発し合い分子が広がったり、会合を起こすために見かけの分子サイズが大きくなることがあります。SEC分析では溶出が極端に早くなったり、ピークの形状が乱れることが知られています。このような場合、臭化リチウム(LiBr)を溶離液に添加するとイオン反発や会合が抑えられ適正なSEC分析を行うことができます。LiBrの添加量については10 mM程度が適当と考えられていましたが、この点についての系統的な検討は行われていませんでした。今回、有機溶媒系SEC用カラムGPC KD-806Mを用いてポリビニルピロリドン分析における溶離液中のLiBr添加量の適正値に関する検討を行いました。その結果、従来用いられてきた10 mMの添加量が適正範囲内にあることが確認できました。図中のクロマトグラムはRI検出器による検出結果を×印は多角度光散乱検出器(MALS)による分子量を示します。表は得られたデータから分子量・分子サイズを計算した結果です。図および表より、溶離液に対するLiBrの添加量が0~0.001 mMの場合には0.5 mM~50 mMの添加量の条件と比較してポリビニルピロリドンの分子量、分子サイズががかなり大きくなっていることが分かります。この結果からDMFへの塩の添加量が少ない溶離液条件ではポリビニルピロリドンはイオン反発による分子内拡張・カラムに対する静電反発の他に分子同士の会合が起きているいると推定する事ができます。
酢酸セルロースの例もご参照ください。

Sample: 100 μL
0.01 % Polyvinylpyrrolidone

結果 スクロールできます
LiBr添加量 Mw (x104) Mn (x104) Rw (nm) Rz(nm)
  0 mM (750) (297) (222) (371)
  0.001 mM (220) (132) (243) (259)
  0.01 mM 95.6 54.1 67.3 92.0
  0.1 mM 78.2 36.2 48.9 58.9
  0.5 mM 78.5 32.5 48.3 56.7
  1 mM 79.0 25.5 40.0 56.8
10 mM 79.2 29.2 44.7 56.8
50 mM 78.9 23.4 37.2 56.8
Column
Shodex GPC KD-806M (8.0 mm I.D. x 300 mm)
Eluent
LiBr in DMF
Flow rate
1.0 mL/min
Detector
RI, MALS
Column temp.
40 ℃
 

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