ノンサプレッサ方式のイオンクロマトグラフィーでは溶離液として芳香族有機酸(オキシ安息香酸)の水溶液およびフタル酸の水溶液が使用されます。下記の表にてIC NI-424の溶離液として用いられる代表的な2つの溶離液について各成分の役割について説明します。

スクロールできます
  溶離液 (1) 溶離液 (2)
主成分 4-ヒドロキシ安息香酸 フタル酸
pH調整 Bis-Tris* アミノ-n-カプロン酸
分離調整 フェニルボロン酸 (リン酸イオンとフッ化物イオンの分離を促進します。)(特許3456511) フェニルボロン酸 (リン酸イオンとフッ化物イオンの分離を促進します。)(特許3456511)
その他 CyDTA** (微量の金属イオンをシステムから洗い流すためのキレート剤)  
特長 ピークバランスを改善し、高濃度の試料の場合でも良い分離を可能とします。 特に、リン酸イオンの定量性が良くなります。
* Bis (2-hydroxyethyl) imino-tris-(hydroxymethyl) methane
** trans-1,2-Diaminocyclohexane-N,N,N',N'-tetraacetic acid

溶離液(1)の調製方法

溶離液(1)の代表的な組成 : 8 mM 4-Hydroxybenzoic acid + 2.8 mM Bis-Tris + 2 mM Phenylboronic acid + 0.005 mM CyDTA aq.
  1. (1)1.105 gの4-ヒドロキシ安息香酸、0.586 gのBis-Tris、0.244 gのフェニルボロン酸、1.7 mgのCyDTAを秤量して1リットルのメスフラスコに採取し、イオン交換水で1リットルに定容します。
  2. (2)水中で超音波をあてて溶解した後、0.45 μmのメンブレンフィルターでろ過して溶離液とします。
  3. (3)微量に含まれているイオンを測定する場合には試薬中の不純物によるピークが測定の邪魔になることがありますので4-ヒドロキシ安息香酸を精製して不純物を取り除くことをお勧めします。

溶出時間および溶出順序は溶離液の種類、濃度、pHを変えることにより変化させることができます。
溶離液 (1)における溶離液pHの溶出時間への影響については、溶離液pHの影響 (NI-424) をご参照ください。アルカリ溶離液(pH7以上)を用いる場合には二酸化炭素が溶離液に溶け込みpHが変化することがあります。溶離液ビンの入り口に二酸化炭素トラップを取りつけて二酸化炭素の溶け込みを防いでください。酸性溶離液の方が安定ですので通常の分析には酸性溶離液をお勧めします。

取扱説明書・検査成績書

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