Shinoセンパイ、ODSカラムの圧力が高くてポンプが止まっちゃうんです。助けてくださ~い。
ポンプの圧力リミッターはカラムの耐圧に設定してた?
ええ、先輩に教わってましたから、カラム耐圧の80%ぐらいに合わせてました。
耐圧が200 kgf/cm2だから、160 kgf/cm2まで上がったってことね。とりあえず、カラムはセーフよ。
よかった。
喜ぶのは早いわよ。どうして圧力が上がったのかしら、溶離液は?
水とアセトニトリルが20対80です。
この装置、前は何で使っていたの?だいたい、装置は洗ってから使い始めたの?
水で洗ったはずなんですけど。バッファーで使ってましたから……
おかしいわねぇ。とにかくカラムを外してみましょう。
はい。Shinoセンパイ、耐圧をこえるとカラムは壊れるんですか?
ケースバイケースよ。ちょっと、ポンプを動かしてみて。
……ちゃんと動いているわ。やっぱりカラムが詰まったんですね。
あわてない、あわてない。インジェクタの出口と検出器の入口をユニオンでつなぐと、どうかしら
…さて、ポンプON。Shinoセンパイ!!160 kgf/cm2を越えたわ。
検出器も水で洗浄したの?
洗浄しなかったかもしれません。どうしましょう、壊れちゃったのかしら。
UV検出器のフローセルが割れたのなら、圧力は上がらないでしょう?!
センパイ!!助けに来てくださったんですね。
検出器の入口側のチューブを1 cmくらい切って、もう一度試してみよう。ほらShinoチャン、検出器の手前までのフローラインを水に置換してくれよ。
ハーイ。
うまくいきますように。ポンプON。…直ったわぁ。
検出器の入口側はピークが広がらないように細いチューブを使っているからね。今回のようにカラムを外した状態で放置しておくと塩が析出し易いんだよ。
出口側に塩が析出していたらフローセルが破裂したわけですよね。うまくできているんですね。
まったく、しょうがないわね。出口側はフローセルに背圧がかからないように太くなっているのよ。センパイ、もしも入口側のチューブ全部に塩が析出したらどうやって洗えばいいんですか?
メーカーを読んで修理するしかなかったね。運が良かったんだよ。同じような経験があるんだよ。リン酸バッファーを使ったあと、塩化カルシウム溶液に代えたんだけど、すぐに圧があがってね。リン酸三カルシウムがあちこちに析出してひどい目にあったよ。
塩が有機溶媒で析出したり、良溶媒に溶かしたサンプルが溶離液で析出するっていうのはよくあるケースだから注意してますけど、溶離液同士の反応生成物には気づかなかったわぁ。同じことなんですけどねぇ。
私も気をつけます。じゃあ、塩も洗えたようですからカラムの方をチェックしてみます。
1時間後
Shinoセンパイ、カラムは大丈夫でした。
よかったわね。圧力が高いからって、すぐにカラムを疑ってはダメよ。装置に原因があることも多いのよ。チェックリストを作ってみるといいわよ。
は~い。できたら見てくださいね。
という訳で、Shinoチャンと後輩合作の「圧力上昇チェックリスト」お役に立てば幸いです