センパイ、さっきお客さまから電話があって、「高分子の分析にはどのカラムを使ったらいいか?」って聞かれたんですケド…。
高分子の分析といってもどのような分析をするのか、その目的がはっきりしないとカラム選択はできないよ。それと試料の性質など、つまりどのような溶媒によく溶けるのかとか、だいたいの分子量とか、分子構造もわかるといいね。このへんのところはお客さまから聞いているのかな?
もっちろんで~す。これがそのときのメモです。
MEMO
- 分析目的
- :高分子の分子量分布測定
- 分子構造
- :ポリエステル系。詳細マル秘。
- 推定分子量
- :20万~30万
- 可溶溶媒
- :THF、トルエン、DMF (室温)
なるほど……。それじゃ、カラム選択について少しレクチャーしてあげよう。まず最初に、分析目的に合わせて分離モードを選ぶわけだけど、この場合、分子量分布測定で、なおかつ試料が有機溶媒に溶けるから、迷わずGPCモードを選ぶんだね。
次に溶離液の選定。これは試料が充分に溶解する溶媒の中から、取扱いの容易さ、粘度、安全性、価格、そして使用する検出器によってはUVカットオフ、屈折率を考慮して選べばいいんだよ。この試料には、THF溶媒カラム (GPC KF-800 シリーズ)が適当だろうね。あとはShodexカラムのカタログを見て、カラムの排除限界分子量や較正曲線を参考にして適当なポアサイズのカラムを選べばOKだね。高分子の場合だったら迷わず、ShodexのリニアシリーズにKF-G (ガードカラム)を勧めるのがいいね。
でも先輩、お客さまの試料は分子量が20万~30万だから、KF-805 (排除限界分子量400万)とKF-803 (排除限界分子量7万)を接続して使ってもいいんじゃないですか?
確かにその通りなんだけれど、最近のようにデータ処理機を使って分子量分布計算をやるのが普通になっていることを考えれば、較正曲線がより広い範囲で直線になっているカラムを用いた方がより正確な分子量分布が求められるんだよ。ようするにKF-805とKF-803を接続するより、KF-806Lを2本使う方が、較正曲線はより直線になるっていうことだよ。
よくわかんないわ~。
でも先輩!カタログの較正曲線を見ると、KF-805とKF-803の較正曲線の勾配は同じように見えますよね。だったらこれらを接続した場合も勾配は直線になると思うんですけれど?
確かにそうなんだ。しかしそこに落とし穴があるんだよ。試しにKF-805とKF-803の較正曲線を合成して、KF-806Lのそれと比べてごらん。良くわかるから。
その翌日
先輩たいへんで~す。こんな較正曲線になりました (図1)。KF-805とKF-803を接続した場合の較正曲線ってほんとに曲がっているんですね~。
ポアサイズの異なるカラムを連結した時にできるちょっとした変曲点がクロマトグラムのショルダーの原因になることが多いからね。GPCもリニアシリーズが出来てから、カラムの選択が本当に楽になったんだよ。