前回のNews Letterでは、ピーク形状や溶出時間に再現性にあるゴーストピークの場合について、原因と対策を検討してみましたがお役に立ったでしょうか。
さて今回はピーク形状や溶出時間に再現性のないゴーストピークの場合です。
サンプルを注入した時に、ピーク形状や溶出時間に再現性がないということは、注入したサンプルに無関係で起きているということになりますよね。
そうでもあり、そうでもなし、ってとこかな。
え~、どういうことですか?
まず、サンプルとは無関係な場合から考えてみましょう。この場合なにが原因だと思う?
検出器のランプが劣化した時に、時々小さなピークが出ることがありますよね。そのくらいしか、思いつけないわ。
スパイク状のピークの時は?
それは気泡のピークです。間違ってカラムに空気をいれてしまった時や、脱気が不充分な溶離液の時に気泡のピークが出ますね。でもどうして脱気が不充分だと気泡が出るのかしら?
カラムの中を流れている時は加圧下なので、溶存ガスはしっかり溶離液の中に溶け込んでいるの。ところが、カラムの出口から出た途端に大気圧に戻るでしょ。高い圧力から一気に大気圧に戻ったショックで、溶存ガスが気泡になるというわけ。だからカラム圧の高い状態で測定をする時ほど、溶離液の脱気はちゃんとしなくちゃだめなのよ。知ってた?
知りませんでした。ってことはODSみたいに10 MPa以上の圧力がかかるカラムの時は、要注意ですね。
その通りよ。そもそもカラムには、絶対に空気を入れないように注意してね。カラムの中に一部、空洞が残ってしまうことが多いの。そうなるとピークがブロードになるし、ひどい時には、ピークがふたつに割れたりするのよ。
充分に脱気した溶離液でいくらカラム洗浄しても、カラムのどこかに気泡が残っているらしくて、思わぬ時にスパイクノイズが出たりしますものね。わたしも、大事な測定の最中に気泡のピークが出てひどいめにあったことがあります。
そうよ。気泡が入ったカラムは、残念だけど、再使用しない方がいいわね。さて次に、ゴーストピークがサンプルに由来していながらピーク形状や溶出時間に再現性がない場合っていうのは、どうかしら?
わかりません。だってサンプルに由来していれば、必ず再現性があるはずだわ。
知ってるはずなんだけどなぁ。そうねぇ、次にサンプルを注入するタイミングってどうやって決めている?
何もピークが出てこなくなったら、次のサンプルを・・・・・。あ!! そうかぁ。一見ベースラインが平らになっても、まだ何か出ているのかもしれませんね。ずっと遅れて出てくるピークがゴーストピークかもしれませんね。
そうなのよ。案外、見落としちゃうのよね。かなり遅れて出るピークに次に注入したサンプルのピークが重なってショルダーになったりすることがあるのよねぇ。
でも Shino先輩、それってこわいですね。もしオートサンプラーを使っていたら、溶出時間に再現性があるわけだから、ショルダーのあるピークなんだって勘違いしちゃいますよね。ショルダーをメインのピークから分離しようとして条件検討しても無駄なんだし、第一訳がわからなくなりそう。
本当にそう思うわ。オートサンプラーで分析している時は、注入のインターバルをいろいろ変えて測定してみる必要もあるかもね。
それにしても遅く出るピークは、どうやって除くんですか?
溶出力の強い溶離液でのステップグラジエントを組むとか・・・
もっと簡単な方法はないんですか?
1回分析する度に、次に溶出力の強い溶媒をサンプルとして注入するっていう方法もあるわね。つまり、サンプル→洗浄液→サンプル→洗浄液の順に注入するわけ。いかが?
はい、試してみまーす。