Shinoセンパーイ。サンプルの注入って、結構、重要なんですね。
読者の皆様からのご指摘も多かったし・・・。
思ってたより、たくさんの方が読んでくださっているんですねぇ。うれしいわ。
本当に!! 今回は、インジェクタの使用方法をまとめてみましょう。
- 実験者の操作誤差や、個人差をなくすためにインジェクタのサンプルループの容量分だけ注入することをお勧めします。
つまり20μL注入する場合には、インジェクタに20μLのサンプルループを取り付けます。50μL注入する場合には、50μLのサンプルループを取り付ける訳です。 -
注入動作 (例えば、20μLのサンプルループが付いている場合)
- (1)サンプルループの2~3倍の容量が注入できる注射筒を選びます。ここでは100μL注射筒にインジェクター専用の針を付けたものを使用します。
つまり、サンプルループが20μLですから、サンプルは40~60μL程度、注入することになります。 - (2)注射筒に60μLより多めにサンプルを吸い込みます。注射針をまっすぐ上に向けて、注射筒の内筒を少しずつ押し上げながら、注射筒を軽く叩いて内部に残留した空気を完全に追い出します。
- (3)インジェクタがINJECTの位置にあることを確認し、注射筒を差し込みます。
- (4)インジェクタをすばやくLOADに切り替えます。
- (5)注射筒の中身をゆっくり押しだして、サンプルループ内に満たします。押し出すスピードが早すぎると、サンプルループの中心部のみが液置換され、壁面近くには、溶離液がそのまま残ってしまいます。したがって、サンプルループ全体にサンプルを満たすためには、ゆっくり1,2,3と数えながらサンプルを押し出してみてください。
- (6)インジェクタをすばやくINJECTに切り替えます。インジェクタがINJECTの位置に切り替わった途端に、サンプルループに満たされたサンプルは分析カラムに導入されます。
- (7)インジェクタから注射筒を抜きます。
- (8)インジェクタの注射針導入部分が、サンプルで汚染された可能性がある場合、もしくは結晶化しやすいサンプルの場合は、付属の洗浄用具を用いて注射針導入部分を洗浄することをお勧めします。
洗浄のためには、まず2mLの注射筒を用意して、この先端に洗浄用具を取り付けます。注射筒に洗浄液 (純水やメタノールなど)を1mL採り、INJECTの位置のままで押し出し、注射針導入部分を洗浄します。 - (9)(2)に戻り、次の測定を実施します。
- (1)サンプルループの2~3倍の容量が注入できる注射筒を選びます。ここでは100μL注射筒にインジェクター専用の針を付けたものを使用します。
- 粘度の高いサンプルを測定する場合粘度の高いサンプルの場合は、オートサンプラをご利用になることをお勧めします。注射筒を用いたマニュアルでの注入動作では、正確にサンプルを注入することができない場合があります。これに対して、オートサンプラのサンプル吸い上げスピードは調節が可能です。吸い上げを最も遅いスピードで実施することにより、データの再現性が得られるようになります。
Shinoセンパイ、このハガキを見てください。『LOADの状態で注射筒を差し込む方が正しいのでは?』というご意見をいただいていますけど・・・・
確かにこの方のおしゃる通り、サンプルループの容量分だけ注入する時には、注射筒を差し込むのは INJECT でも LOAD の位置でも問題がないわ。でもね、サンプルループの容量よりも少なく注入することってあるでしょ!?
例えば、20μLのサンプルループの時に、10μL分だけ注入することですよね。時々やります。だってサンプルループを付け替えるのって大変なんですもの。
そういう時は、必ずINJECTの位置で注射筒を差し込んでね。インジェクタのローターシールが古くなっていたり、インジェクタの廃液チューブ取り付け向きが不適当な時にLOADの位置で注射筒を差し込むと、サンプルが拡散しやすくなることが多いの。サンプルが拡散すると定量値のばらつきの原因になるから、こういった状況は避けなくっちゃね。
ウーン、そんなにいろいろ憶えられないわ。
だから、いつでも『注射筒を差し込むのはINJECTの位置』と決めておけば簡単でしょ?!
他に注意することありますか?
サンプルループの容量より少なく注入しようという時は、測定の直前にサンプルループにサンプルを入れた方がいいわ。早めにサンプルだけスタンバイさせておこうというのは、大間違いよ。
えー、どうしてですかぁ?
少しずつだけれど、サンプルはサンプルループの中で拡散しているのよ。たとえ INJECT の位置で注射筒を差し込むにしても、サンプルをスタンバイしてから時間が経てば拡散が起きて、ばらつきの原因になるというわけよ。
これで完璧ですね。
まだまだ。サンプルループの大きさによって、最適なサンプル注入量があるってことも、忘れないでね。
そりゃ、そうですよね。500μLのサンプルループの時に、5μL注入するのは、無謀というものだわ。
これは、サンプルループの内径や、使用している溶媒の中でのサンプルの拡散スピードにも依存しているから、一概にはいえないけど注意が必要なことは確かね。
はーい、わかりました。サンプルの注入って案外難しいんですね。これからは注意します。