ガードカラムの必要性とは・・・・?

後輩

Shinoセンパ~イ、サンプルを注入前に0.45ミクロンのフィルターでろ過するのって、絶対必要なんですか? 光に透かしてみても沈澱してないし、どうせ20μLしか注入しないんだから、少しぐらい沈澱していても大差ないような気がするんですけど・・・

Shino

カラムライフにとっては、大きな差があるわよ。第一、沈澱が目に見えるようじゃ問題外だわ。沈澱ができないようなサンプルの溶解方法を再検討する必要があるわね。溶けた物だけを測定するっていうのはかなり危険な考え方よ。

後輩

そうかぁ、そこまで気がつかなかったわ。それじゃ、どうしてろ過するんですか? ガードカラムもつけているのに。

Shino

う~ん、問題を整理してみなくてはね。カラムの劣化は大きく分けて二つの原因で起こるの。まず、微粒子やサンプル中の不純物がカラムに蓄積すること。それからカラムの入口に隙間ができること。

後輩

それで、とりあえず0.45ミクロンのフィルターで除けるものは取ってしまおうって訳ですね。

Shino

そうなの。目に見えない沈澱物やゴミはカラムの入口、特にエンドフィッティングに詰まって圧力上昇の原因になることが多いのよ。

後輩

あるある、そういうケース。サンプルを注入する度にカラム圧が上昇することって。普通はカラムの圧力が上がる場合って、充てん剤が潰れて隙間が出来るわけだから、カラムの段数が下がるんですよね。でも圧は高いけど段数はOKっていうことあります。それってゴミが原因なんですね。でも、圧力が高いだけなら別にどうってことないんじゃないですか?

Shino

ゴミがエンドフィッティングに詰まったケースを考えると、カラムの入口で液体が通過できる有効な面積が小さくなるわけでしょ。狭いところを急速なスピードで通過しなくてはならないから、高分子の切断が起き易くなるわよね。それにサンプルバンドの広がりの原因にもなるわ。第一、ポンプの圧力リミッターの設定はどうするの?

後輩

そうですね、カラム圧力を正しくモニターできないと、トラブルが発生した時に何が原因か判断できませんね。

Shino

サンプルだけじゃないわ。そもそも溶離液は調製後にフィルターろ過しているし、インジェクター前にはラインフィルターを付けてゴミを除いているでしょ。面倒でもフィルターろ過はサンプル調製の原則よ。

後輩

フィルターろ過したのに、カラムに蓄積する不純物って何かしら?

Shino

溶けているからフィルターを通過するけど、カラムに吸着する成分ね。測定するカラムの種類や溶離液の条件によって何が汚染物質になるかは違ってくるけれど、例えば色素とかタンパク質とか、配位子交換のカラムだったら金属イオンかな。

後輩

サンプルを前処理する方がいいんじゃないですか?

Shino

もちろん理想的にはその通り。カラムを汚染することが分かっている不純物が大量に含まれている場合は事前に前処理すべきよね。

後輩

前処理といえば、液液分配、固相抽出や、酸変性による除タンパク、イオンの除去なんかですよね。

Shino

そうね、前処理方法はいろいろあるけれど、測定対象物質の回収率が低くなったり、大きくばらつかないかどうか事前にチェックするのを忘れないでね。

後輩

あ!! 必要なものまで除去されちゃうんですね。

Shino

だから微量の不純物の場合は、前処理なしで注入して、汚染物質をガードカラムにトラップする方が有利なことも多いわ。

後輩

その方が簡単でいいわ。悪い物はガードカラムでトラップして、ピークがゆがんで来たらガードカラムを交換すればいいんでしょ?

Shino

ピークに影響が出るようでは遅すぎるわ。本カラムも劣化したということですものね。ガードカラムは本カラムに影響が出る前に交換しなくては意味がないわ。

後輩

交換時期の目安は何ですか?

Shino

カラムの種類、溶離液の組成、サンプル中の既知の不純物は特定できるから、一応、ガードカラム交換の頻度が高いのか低いのかだけは判断できるわよね。でもサンプル中には、未知の汚染物質が存在するはずだし、それはサンプルによっても違うし・・・

後輩

難しいことは抜きにして。Shinoセンパイは、どうしてます?

Shino

1000サンプルで本カラムが劣化したのなら、700とか800サンプル目が、ガードカラムの交換時期だと考えているけど。でもひとつでも汚いサンプルが入ってしまえばアウトなのだから、何がカラム汚染につながるのか、カラムの性質をよく知っておくことが肝心よ。

後輩

はーい、カラムの取扱説明書は事前によく読みますね。