ピーク形状の異常 (1:GPC編)

Shino

先輩たいへんで~す。この前測定したクロマトときょう測定したクロマトとでパターンが違ってしまいました。条件は同じなんですけど…?

先輩

どれどれ、クロマトグラムを見せてごらん。フム、フム…。
ポリビニルピロリドン (PVP) のGPC測定で溶媒はジメチルホルムアミド (DMF)、カラムはGPC AD-806MS (現:KD-806M)か、なるほど…。
図1のAが前回測定のクロマトグラム、Bが今回のクロマトグラムで…要するに高分子側 (10分付近) の再現性がないわけだね…。
これは簡単ですよ!新しいDMFに10 mMのLiBrを溶解し、これを溶離液としてGPC測定してごらん。それから試料は新しい溶離液で0.2 %程度に調製したものを100 μL注入してはどうかな。

しばらくして

Shino

先輩たいへんで~す。こんな (図2)きれいな再現性のよいクロマトグラムがとれました。どうしてですか~?

先輩

PVPのような含窒素化合物のGPC測定を行った場合など、カラムの排除限界分子量の少し前からピークが現れたり、今回のように日を隔てて測定することにより、高分子側のクロマトパターンが変化する現象はよく認められることですね。これは試料のもつイオン的な影響が原因と考えられているんだよ。
そのため、LiBrのようなイオン化抑制剤を溶離液に添加する方法がよく用いられます。添加量は溶媒や試料によっても異なりますが10 mMを目安に考えればいいだろう。