三価クロムと六価クロムの迅速分析 (VN-50 4D)

ジオール基を結合させた親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)用カラム HILICpak VN-50 4DとICPMSを組み合わせた三価クロムCr(III)と六価クロムCr(VI)の分離例を紹介します。
ここでは、水溶液の比率が高く、更に2,6-ピリジンジカルボン酸(PDCA、別名:ジピコリン酸)を添加した溶離液を用いています。溶離液にPDCAが存在することでCr(III)は安定な錯体(Cr(III)-PDCA)を形成します。下記のクロマトグラムは、溶離液中のアセトニトリル(ACN)濃度を2 ~ 4 %に振って比較したもので、それぞれCr(VI)がCr(III)-PDCAより優先して溶出する特徴があります(ACN濃度が高くなると感度が下がるため、上限を4 %に設定)。すべての溶離液条件においてCr(VI)とCr(III)-PDCAの一斉分離が可能ですが、ACN濃度を上げることでCr(III)-PDCAの溶出が早まり、ピーク形状も改善することから、本分析では4 % ACNの条件が適していることが分かります。
ICPMSでのクロムの分析では、塩化物イオンに由来する干渉イオンの影響が懸念されます。定量への影響を低減させるためICPMSへ導入する前に塩化物イオンとクロムを分離できた点は重要です。
*本分析で使用したHPLCシステムはバイオイナート仕様でVN-50 4Dのハウジング材質はPEEKです。

Sample: 100 μL
25 μg L-1 Cr(Ⅵ)-Cr(Ⅲ)PDCA solution and 0.001 mol L-1 HCl

  1. light grey:2 % ACN
  2. grey:3 % ACN
  3. black:4 % ACN
chromatogram of Cr

関西学院大学 生命環境学部 環境応用化学科 谷水 雅治教授ご提供

参考文献:
Ito, A., Morishita, Y., Morimoto, T., Tanimizu, M. Rapid determination of chromium species in environmental waters using a diol-bonded polymer-stationary column under water-rich conditions coupled with ICPMS. ANAL. SCI. (2024). https://doi.org/10.1007/s44211-023-00475-6

Column
Shodex HILICpak VN-50 4D (4.6 mm I.D. × 150 mm)
Eluent
50 mmol L-1 CH3COONH4, 2 mmol L-1 PDCA, 2% ACN, pH7.0 ± 0.2
50 mmol L-1 CH3COONH4, 2 mmol L-1 PDCA, 3% ACN, pH7.0 ± 0.2
50 mmol L-1 CH3COONH4, 2 mmol L-1 PDCA, 4% ACN, pH7.0 ± 0.2
Flow rate
0.6 mL min-1
Detector
ICPMS
Column temp.
Room temperature

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