ポリ(アリルアミン)塩酸塩の分子量分布測定 (SB-806M HQ)

ポリ(アリルアミン)はカチオン性ポリマーの1つです。カチオン性ポリマーのSEC分析は試料と充てん剤間のイオン性相互作用や疎水性相互作用を防ぐような溶離液を選ぶことが測定を成功させる1つのポイントです。試料と充てん剤間のイオン性相互作用を少なくするためには溶離液に塩を添加しますが、リン酸ナトリウムや硫酸ナトリウムのような多価陰イオンを含む塩を使用すると試料が溶解しなかったり溶解後に試料が沈殿してしまうことがあります。これに対し硝酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどの1価の陰イオンを含む塩を使用すると試料の沈殿は起こりません。ここでは硝酸ナトリウムを溶離液に加えた条件で溶離液中の塩濃度のクロマトグラムに対する影響を調べました。充てん剤と試料間の疎水性相互作用を減らすため溶離液に0.5 M酢酸を加えました。Fig.1は溶離液中の硝酸ナトリウム塩濃度を変えて測定したポリ(アリルアミン)のクロマトグラム比較を示します。硝酸ナトリウムの塩濃度が0.02 Mではポリ(アリルアミン)の高分子側がカラムに吸着され溶出されません。塩濃度が0.05 Mでも多少吸着し0.1 M以上になると試料の吸着は抑えられ、きれいなクロマトグラムが得られます。このクロマトグラムが分子サイズ的に分離されているかを確かめるため試料の絶対分子量とRMS半径 (溶液中での分子の大きさ)が同時に測定できる多波長光散乱検出器(MALS)による測定を行いました。Fig.2はSEC/MALSにより求めたポリ(アリルアミン)の分子量と溶出容量の関係を示します。溶離液中の硝酸ナトリウムの濃度が0.1 M~0.2 Mでは分子量の大きい順序で分離されていることがわかります。Fig.3はSEC/MALSで求めたポリ(アリルアミン)のRMS半径(溶液中での分子の大きさ)と溶出容量の関係を示します。硝酸ナトリウム濃度が低いと試料分子が広がりRMS半径が大きくなり早く溶出しています。塩濃度0.1~0.2 Mでは塩濃度による分子サイズの広がりの影響も少なくなり分子サイズの大きい順に分離が行われています。以上の結果より、ポリ(アリルアミン)の測定条件はOHpak SB-806M HQを使用した場合、溶離液は0.5M酢酸+0.1 M~0.2 M硝酸ナトリウムが良いことがわかりました。




Sample : 0.2 % Poly(allylamine), 100 μL

Columns      : Shodex OHpak SB-806M HQ (8.0 mm I.D. x 300 mm) x 2
Eluent       : 0.5 M CH3COOH + n M NaNO3 aq.
Flow rate    : 1.0 mL/min
Detector     : RI, MALS(Multi Angle Light Scattering)
Column temp. : 40 ℃

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