ポリアクリル酸ナトリウム分析における溶離液条件の検討 (GF-7M HQ)

ポリアクリル酸ナトリウムはラテックスや食品の増粘剤、無機顔料の分散剤、織物の糊剤として用いられています。ポリアクリル酸ナトリウムは、弱型イオン性基であるカルボキシル基を有するイオン性ポリマーです。イオン性ポリマーのSEC分析ではSEC以外の相互作用が働く場合があります。SEC以外の相互作用が働くと分子サイズに基づく溶出にならないため分子量計算に影響を与える可能性があります。ここでは分子量の異なる3種類のポリアクリル酸ナトリウムを水・有機溶媒両用SEC用カラムAsahipak GF-7M HQを用いて分析を検討しました。以下に溶離液のpHの影響を示します。

水の溶離液------ポリマーは解離した状態となりカルボキシル基は-COO-型になります。GF-7M HQの基材であるポリビニルアルコールゲルは僅かに負の電荷を持つため充てん剤とポリマーの間でイオン的相互作用(イオン排除)が働き、ポリマーはサイズ分離されずにまとめてフロントに溶出します。
pH3の溶離液------ポリマー中のカルボキシル基の解離が抑えられ平衡状態は-COOH型に傾きます。その結果、ポリマーの極性が下がり充てん剤との間で疎水的な相互作用が起こり、ポリマーは力ラムに吸着して溶出しません。
pH5の溶離液------ポリマーはある程度解離しカルボキシル基は-COO-と-COOHの状態が混在しポリマーの極性は上がります。また溶離液に緩衝液として添加している塩の効果によりイオン排除は抑えられます。この状態ではポリマーは-COOH型に傾いている時には力ラムへの吸着が起こるためSECモードに疎水性相互作用が働いた状態で分離され、回収率の低下や溶出の遅れがなどの現象が起こります。この現象はポリマーの分子量が大きくなればなるほど影響が大きくなります。
pH7の溶離液------ポリマーの解離が-COO-型に傾き極性が高まり疎水性相互作用が弱まるためポリマーの吸着は改善されますが、溶出はまだ少し遅れます。このためpH7では溶離液にアセトニトリルを10%程度添加することで疎水性相互作用を抑えます。 
pH9の溶離液------ 疎水性相互作用が十分に抑制されるためポリマーの吸着や溶出の遅れがなくなります。



以上のようにイオン性ポリマーのSEC分析では、溶離液のpHが重要です。ポリマーによって極性やイオン性はそれぞれ異なりますので、SEC分析をする時は溶離液条件の検討を行ってください。

 

ポリアクリル酸ナトリウムのクロマトグラム

Sample :50 μL
Sodium polyacrylate 0.1 % each PSS-USA(Polymer Standards Service-USA)
 
  Mp Mn Mw Mw/Mn
1.
272,900
222,100
335,400
1.51
2.
90,500
7,8400
131,200
1.67
3.
7,500
6,200
8,300
1.34
ポリアクリル酸ナトリウムの回収率
ポリアクリル酸ナトリウムの較正曲線

 

Column       : Shodex Asahipak GF-7M HQ (7.5 mm I.D. x 300 mm)
Eluent       : H2O
               50 mM Sodium phosphate buffer
               50 mM Sodium phosphate buffer(pH7.0)/CH3CN=90/10
Flow rate    : 0.6 mL/min
Detector     : UV(210 nm)
Column temp. : 30 ℃

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