配位子交換モードについて

SUGAR SP0810、SC1011、KS-801は配位子交換モードとSECモードにより、水を溶離液として単糖や二糖同士を分離することができます。基本的にはSECモードにより分子量の大きな糖から順番に溶出されます。定量の直線範囲が広くベースラインの安定性も良いため、示差屈折率(RI)検出器を用いても高感度が得られます。
配位子交換モードは充てん剤の対イオンである金属イオン(M+)と糖の水酸基との錯体形成能を利用した分離モードです。糖類は分子内に多数の水酸基を持ったアルデヒド又はケトン体ですが分子内へミアセタール構造を形成し5員環(フラノース)や6員環(ピラノース)構造をとります。そしてエネルギー的に安定なイス型(chair form)の立体配座をしています。糖はイス型構造の各炭素に水酸基が結合していますが水酸基の結合は水平方向(Eq: Equatorial結合)か垂直方向(Ax: Axial結合)に配座されます。この水酸基の立体配座は糖の種類によって異なります。図に示したように水酸基の立体配置と対イオン(金属イオン)の相互作用します。(a)の様に3つの水酸基がAx-Eq-Ax(Triplet)の配置をもつ糖は対イオンと強い錯体を形成します。水酸基がEq-Eq-Axの配置を持つ糖は(b)のようにAx-Eq(Pair)の水酸基が対イオンと錯体を形成しますが、形成力は(a) Ax-Eq-Axよりやや弱くなります。表にピラノース構造の単糖類におけるAx-Eq-Ax(Triplet)とAx-Eq(Pair)の数を示します。
錯体形成能は対イオンである金属イオンの種類によっても異なります。対イオンにおける錯体形成能の強さの順はおおむね次の通りです。

Ag+<Li+<Na+<Zn2+<Ca2+<Ba2+<Pb2+


対イオンがPb2+のSP0810 は最も配位子効果モードが強いため構造の類似した単糖同士の分離に威力を発揮します。また、SP0810やSC1011(対イオン:Ca2+)では糖アルコールを強く保持するため糖と糖アルコールを分離することができます。
対イオンがNa+のKS-801ではSECモードが主体ですから基本的に分子量の大きな糖から順番に溶出されますが、配位子交換モードも分離に寄与しているため単糖同士もある程度分離することができます。



ピラノース構造の単糖におけるtripret(ax-eq-ax)とpair(ax-eq)の数


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