タンパク質の分子量測定 (KW-803)

タンパク質の大きさや分子量を正確に測定することにより球状タンパク質と繊維状タンパク質などの形状の違いや大きなタンパク質を形成するサブユニットに関する情報を得ることが出来ます。また免疫複合体や酵素とその阻害タンパク質などのタンパク質同士の会合状態に関する情報を得ることも可能です。タンパク質などの生体高分子の分子量測定には浸透圧、光散乱、沈降平衡などを利用した方法が知られておりますが煩雑さが伴います。多角度光散乱検出器(MALS)をHPLC装置に接続することによりタンパク質の分子量に関する情報を簡便かつ正確に測定することが可能です。図1にはMALSで検出したクロマトグラムを、図2にはMALSにより求めた分子量を縦軸にPROTEIN KW-803からの溶出容量を横軸にとってプロットしたグラフを示します。分子量マーカーなどに用いられる標準タンパク質を測定して得られた較正曲線と比較するとMALSから得られたBSAの分子量はこの測定条件での溶出容量と較正曲線を比較して推定される分子量とほぼ一致(約60 kDa)しましたが、塩基性タンパク質であるLysozymeはシリカ系の基材上に存在するシラノール基との相互作用により遅れて溶出するため較正曲線に照らしたときの見かけの分子量は小さくなっています。また、α1 Acid glycoproteinのような酸性タンパク質はシラノール基との反発が起こりその溶出は本来の位置よりも早まり見かけの分子量は大きめになります。このように末知のタンパク質の分子量をサイズ排除(SEC)モードで測定する場合、その表面電荷によっては実際の分子量と異なる位置に溶出することがありますがMALSを併用することにより誤差の少ない情報を得ることが可能となります。BSAは一部がDimerとなっていることが知られていますが、図1に示されるように実際のクロマトグラムのMALSから得られる分子量からもタンパク質の二量体化が示唆されます。


Sample : Bovine serum albumin, BSA (Sigma) α1 Acid glycoprotein, Orosomucoid (Sigma) Lysozyme (Seikagaku Kogyo Co., Ltd.)

 

Column    : Shodex PROTEIN KW-803 (8.0 mm I.D. x 300 mm)
Eluent    : 0.05 M Sodium phosphate buffer(pH7.4) + 0.15 M NaCl 
Flow rate : 1.0 mL/min
Detector  : MALS(Multi angle light scattering), RI

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