第5部:その他のカラム、分取カラム、ガードカラム
目次
24.イオンクロマト用カラム
24−1.サプレッサ法のカラム
24−2.ノンサプレッサ法のカラム
24−3.その他のカラム
25.アフィニティ用カラム
26.光学分割用カラム
27.専用用途カラム
27−1.界面活性剤分析用カラム
27−2.ゴルフ場農薬分析用カラム
27−3.N-メチルカーバメート系農薬分析用カラム
27−4.ハロゲン酸化物分析用カラム
27−5.界面活性剤除去用カラム
27−6.アミノ酸分析用カラム
27−7.アルブミン分析用カラム
27−8.コリン・アセチルコリン分析用カラム
27−9.シアン分析用カラム
27−10.有機ヒ素/パラコート分析用カラム
27−11.マンニトール分析用
27−12.うま味成分分析用カラム
27−13.ゼラチン分析用カラム
27−14.サンプルクリーンアップ用カラム
28.分取用カラム
29.ガードカラム
24.イオンクロマト用カラム
イオンクロマト(正式にはイオンクロマトグラフィといいます)には二つの方式がありますが、そのなかで初期の時点で主流となってきたのがサプレッサ法という方式です。その後、ノンサプレッサ法という方式が開発され、現在ではこの両方の方式が共に用いられています。
サプレッサ法は、カラムの後にサプレッサという装置を配置しており、機器構成が複雑で価格も高価なのですが、溶離液に制限がないので分離性能が優れているといわれます。これに対し、ノンサプレッサ法は、サプレッサを用いませんので、機器構成が単純で価格も安価ですが、溶離液としてフタル酸などの低電導度の溶離液のみしか用いられないという制限があり、感度の点でサプレッサ法にやや劣ります。Shodexでは、サプレッサ法とノンサプレッサ法の両方のカラムを取り扱っています。
24−1.サプレッサ法のカラム
サプレッサ法による陰イオン分析用のカラムとしては、Shodex IC SI-90とSI-50の2種類があります。SI-90は標準分析用、SI-50は、特殊分析用でSI-90の高性能品です。
24−2.ノンサプレッサ法のカラム
陰イオン分析用カラムとしては、Shodex IC I-524AとNI-424があります。I-524Aは、陰イオン分析用カラムのベストセラー品でNI-424はI-524Aの高性能品です。
陽イオン分析用カラムとしては、Shodex IC Y-521とYK-421があります。YK-421は、陽イオン分析用カラムのベストセラーです。Shodex
YK-421は1価・2価イオンの同時分析ができる大変便利なカラムです。
24−3.その他のカラム
この他に、遷移金属イオン分析用、希土類金属イオン分析用カラムなどがありますが、用途が限定されておりあまり一般的なカラムとはいえません。
25.アフィニティ用カラム
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| (図−16) |
アフィニティ(正式には「アフィニティクロマトグラフィ」といいます)は、これまでに説明した分離モードとはかなり異なった分離モードです。
アフィニティで用いられるゲルには、リガンドとよばれる官能基に似たものが結合されています。このリガンドは特定の成分を捕らえますが、その他の成分は捕らえません。この関係は鍵と鍵穴の関係に似ており、数多くある鍵の中で特定の鍵穴に差し込んで解錠できる鍵は1つだけしかないということと同じような関係にあります。
色々な成分が混ざった試料をアフィニティカラムに注入しますと、特定の成分だけがリガンドに捕らえられ、それ以外の成分はすべて溶出されます。リガンドで捕らえられた後に溶離液を変化させると、リガンドに捕らえられていた成分をリガンドから離すことができ、溶出させることができます。(図−16)はこの仕組みを図解したものです。
したがって、アフィニティである成分を分離したい場合はその成分を捕らえることのできるリガンドを見つけて、そのリガンドを結合させたゲルを充てんしたカラムを用いればよいということになります。Shodexのアフィニティカラムは、31種類のリガンドを結合させたカラムがあります。この品揃えは他の追従を許さないものといえますが、それでもなおこの31種類の中に分離したい成分を捕らえられるリガンドがない場合もあります。その場合は必要なリガンドの種類が分かれば、そのリガンドを用いたアフィニティカラムを特注で製造することができます。
26.光学分割用カラム
製薬の原料として用いられる物質のなかには、光学異性体という一対の構造の似た物質が存在する場合があります。光学異性体は化学式と立体的な構造が全く同じで、一方が他方を鏡で写したような対称的な構造をもったもの同士のことをいいます。別の表現をすれば、右手と左手のように全く同じ形をしながら、重ね合わせることのできない物質同士のことをいいます。光学異性体のうち一方は光を当てたときにこれを右に曲げる性質がありこれを右旋性、他方は光を当てたときにこれを左に曲げる性質がありこれを左旋性といいます。
光学異性体で有名なのは少し古い話しになりますがサリドマイド事件です。サリドマイドという睡眠薬を飲んでいた母親から生まれた子供に奇形児が多数発生したという悲劇的な事件ですが、これはサリドマイドの成分に光学異性体があり、一方は睡眠作用をもつ物質であり、他方は奇形児出生の原因物質であるということから発生した事件です。このように光学異性体は非常に良く似た物質同士なのですが、人体に摂取された場合に全く異なる作用があります。
一般に製薬の製造工程で光学異性体のある物質を合成する場合、一方の光学異性体だけを合成することは難しく、他方の光学異性体も同時に合成されることが避けられません。ところが、このような目的としない光学異性体を放置するとサリドマイドのような事件を起こす原因となりますので、光学異性体の分離は非常に重要なことといえます。この光学異性体の分離のことを光学分割といいます。
HPLCで2つの成分を分離する場合、成分同士の違いが大きいほど分離は容易といえます。光学異性体の場合は、お互いが非常に似ているもの同士の分離になりますので、これを分離するのは非常に難しい技術といえます。
Shodexでは、シクロデキストリン誘導体及びアミノ酸誘導体をリガンドとした光学分割カラムを販売しています。
27.専用用途カラム
Shodexカラムには、ある特殊な用途に用いられると威力を発揮するカラムがあります。このようなカラムを専用用途用カラムとして販売しています。以下にこの専用用途カラムについて説明します。
27−1.界面活性剤分析用カラム
洗浄剤、繊維仕上剤、乳化剤、浮遊選鉱剤、セメント用起泡剤、泡沫消化剤、潤滑油添加剤、殺菌防腐剤、塗料などに用いられる、界面活性剤の分析に用いることができます。
27−2.ゴルフ場農薬分析用カラム
昨今のゴルフブームで、全国のゴルフ場の数は飛躍的に増加しました。ゴルフ場ではコースのメンテナンスのために相当量の農薬が散布されています。この農薬は雨水で洗い流され近くの河川に流れ込むことになります。ゴルフ場の密集している地域では河川の汚染はかなりのものになり、水道水への汚染の影響も心配されます。そこで、ゴルフ場で使用される農薬に含まれる農薬成分の分析が義務づけられることとなりました。ゴルフ場農薬成分分析カラムは、ゴルフ場で用いられる農薬に含まれる主要な成分を同時に分析できるカラムです。
27−3.N-メチルカーバメート系農薬分析用カラム
農薬として使用されるN-メチルカーバメートの分析にはHPLC法が使用されていますが、この方法ではグラジエントを用いなければなりません。
グラジエントの場合は、分析終了後に溶離液を最初の条件に戻して、安定した後に次の分析を行うため、各分析間の無駄時間が多いのが欠点です。
N-メチルカーバメート系農薬分析用カラムの場合は、溶離液条件を変えないアイソクラッティク法による分析が可能ですので、分析に要する時間を大幅に短縮することが可能です。
27−4.ハロゲン酸化物分析用カラム
上水試験法(厚生労働省省令第101号)に準拠したポストカラム誘導体化法によるハロゲン酸化物分析用カラムです。ClO
2-、
BrO
3-の分離が可能となり、BrO
3-の定量精度が高くなりました。
27−5.界面活性剤除去分析用カラム
ガード-カラムのように分析カラムの前に接続するだけでオンラインで界面活性剤除去ができるカラムです。
界面活性剤が存在するタンパク質の分析などにご使用下さい。
27−6.アミノ酸分析用カラム
アミノ酸の一斉分析に適したカラムです。
27−7.アルブミン分析用カラム
タンパク質の一種であるアルブミン分析用に使用されるカラムです。
27−8.コリン・アセチルコリン分析用カラム
生体成分として重要なコリン・アセチルコリンの分析用に使用されます。
27−9.シアン分析用カラム
シアン化合物は工場排水に含まれますが、有毒であり規制の対象となっています。このシアン化合物の量の測定用に使用されます。
27−10.有機ヒ素/パラコート分析用カラム
ヒ素の形態分析やパラコート・ジクワットの分析に適したカラムです。
27−11.マンニトール分析用カラム
アメリカ合衆国薬局方(USP 第23版)に準拠したマンニトール分析用のカラムです。
27−12.うま味成分分析用カラム
食品中のうま味の元となっている核酸成分(呈味核酸成分)の分析に用いられます。また、呈味核酸成分の分析による食品の鮮度の判定にも使用されます。
27−13.ゼラチン分析用カラム写真用フィルムの製造に用いられるゼラチンの品質管理基準としてPAGI法という分析方法が定められており、この分析法ではAsahipak GS-620P 7Gを使用するように定められています。ただし、PAGI法を用いているのは日本の8社(ゼラチンメーカー4社、写真フィルムメーカー4社)に限られており、あまり一般的な用途とはいえません。
なお、ゼラチンは、写真用のみではなく食品用等にも用いられており、このカラムは一般のゼラチン分析用にも使用できます。
27−14.サンプルクリーンアップ用カラム
昨今、様々な農薬が使用されるようになりましたが、これらの中には除去されずに食品中に残留し、人間の体内に取り込まれると有毒なものもあります。したがって、食品中に含まれる残留農薬の量を測定することは重要となってきています。一般的に残留農薬の量は微量なので普通に分析したのでは他の大量に含まれる成分に隠れて測定が困難です。そこで、分析の前に測定の妨げになる成分を除去することが必要になります。このカラムはGPCカラムの一種で試料の前処理用として使用されます。このカラムを用いる前処理方法は米国の検査基準に準拠した方法です。
28.分取用カラム
これまで説明してきたのは分析用のカラムで、カラムの内径が4.6〜8mmのものについてです。この他に内径の大きなカラムが分取用として使用されています。
「分析用」という場合は、試料に含まれている成分の種類・量が分かれば良いわけで、測定結果のクロマトグラムがえられれば目的を達成するわけです。したがって、測定済みの試料は廃液として捨てられます。
「分取用」という場合は、試料に含まれているある成分を取り出すことに目的があります。クロマトグラム上のあるピークに対応する成分を取りだそうとする場合には、そのピークの始まる時間から終わる時間までの間の溶離液を取ればそのピークの成分が取り出せます。
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| (図−17) |
(図−17)の例で説明すると、クロマトグラム上の3つのピークのうち、2番目のb)のピークを分取したいとします。その場合には、溶出時間が10〜15分の間の溶離液を採取すればよいとこになります。
そこで、検出器からの出口の切り換えバルブを10分たったところで切り換えて溶出液を採取瓶にとり、15分たったところで再び切り換えバルブを廃液瓶側に戻します。これにより、採取瓶にはb)だけが採取され、廃液瓶にはa)、c)、d)が混ざった液がえられます。
フラクションコレクターという装置を用いればこれを自動的に行うこともできます。
分取を行う目的は大きく分けて次の2つがあります。
1)他の分析の試料とする場合
HPLCでの分析では、含まれている成分に対応するピークがえられます。日常的に繰り返し行われている分析では、ピークの位置により何の成分であるかが分かっていますが、未知の試料の場合はピークがえられただけでは、それが何の成分のピークなのかは分かりませんので、そのピークの成分を採取して、別の分析方法により成分が何であるかを判定することになります。
判定のための
分析方法としては質量分析計(「MS」と略称します)などが用いられます。また、液クロと質量分析計をつないで一体として、液クロによる分取と質量分析計による分析が自動的に行える「LC/MS」と呼ばれる装置もあります。
2)研究用の試料とする場合
研究室レベルで、試料の中からある成分だけを分取して、次の実験の試料とする場合があります。この目的にも分取カラムが用いられます。
3)大量分取・精製の場合
大量の試料を分取して大量の目的成分を分取し、その目的成分を用いて医薬品等の製造を行うことがあります。つまり、分取カラムを生産設備として使用することになります。この場合は、一回の分取では必要な量の目的成分を分取することはできませんので、試料の注入と目的成分の分取を繰り返し行うことになります。大量分取用に大口径のカラムを用いたとしても、一回に分取できる成分の量はわずかですので、一般的には目的成分が相当に高価なものでないとHPLCによる分取は採算がとれません。
1)、2)の場合は分取する量がそれほど大きくありませんので、通常は内径20mm程度の分取カラムが用いられます。目的成分が比較的多く含まれている場合は、もっと小さい内径のカラムや分析用カラムでも十分な場合もあります。このような分取量の少ない分取を「セミ分取」といいます。
3)の場合は実際の製造ですので、内径が50mm、100mm、200mmあるいはそれ以上というような大きな口径のカラムが用いられています。「セミ分取」に対して「大量分取」ともいいます。一般的には、分取用カラムの場合は分析用カラムに比べて粒度の粗いゲルが充てんされますが、分析用と同じゲルを分取用として使用する場合もあります。
29.ガードカラム
汚れた試料を直接カラムに注入すると、不純物等の有害物質がカラム内に付着してとれなくなりカラムを壊すことがあります。これを防ぐために、試料をフィルターでろ過するなどして、汚れを取ってから注入することが必要ですが、フィルターでは取りきれない有害成分もあり、完全に有害物質を取り除くのは手間がかかります。さりとて、そのまま注入を続けていたのではカラムを壊してしまいます。
このような場合に用いられるのがガードカラムです。ガードカラムは、本カラム(通常のカラムのことをいいます)と同質のゲルが充てんされているミニカラム(サイズの小さいカラム)です。本カラムの上流に(インジェクターとカラムの間に)ガードカラムを置くと、試料中の有害成分はガードカラムの上部から蓄積されますので、ガードカラム全体が汚染される前にガードカラムを交換すれば本カラムは汚染されることなく使用できます。
ガードカラムの価格は、通常、本カラムの価格の3分の1〜10分の1に設定されていますので、ガードカラムを上手に用いれば本カラムの寿命を延ばすことができ経済的にも有効です。
ただし、本カラム自体の価格が安いものについては、本カラムに比べて相対的にガードカラムの価格が高いものになってしまいますので、そのようなカラムについてはガードカラムが用意されていない場合もあります。また、シリカカラムは元々それほど寿命が長いものではないので、ガードカラムを使用してもあまり意味がありません。逆にいえば、長い寿命を期待できるポリマーカラムの場合にはガードカラムを使用する効果が大きいといえます。