第4部:サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)カラム

目次

16.サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)カラム
 16−1.サイズ排除モードの原理
 16−2.分子量分布の測定
 16−3.サイズ排除による分離
 16−4.サイズ排除モードの分類
17.GFCカラム
18.GPCカラム
19.リニアカラム
20.ダウンサイズカラム
21.難溶性ポリマーの分析
 21−1.高温GPC
 21−2.HFIP溶媒
22.マルチモードカラム
23.水・有機溶媒両用SECカラム


16.サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)カラム

16−1.サイズ排除モードの原理

 これまでの分離モードはいずれもゲルと試料中の各成分との化学的あるいは電気化学的な性質を利用して分離を行うものでしたが、ここで説明するサイズ排除モードはこれらとは全く異なり、原理的には各成分の物理的な性質を利用した分離方法といえます。

(図−9) (図−10)
 
 前にも説明したようにゲルには孔が開いていますが、(図−9)に示すように、試料中の各成分のうちで大きさの小さい(分子量の小さい)成分Bはこの孔の奥深くまで入ることができます。大きさの大きい(分子量の大きい)成分@は孔の中には入ることができません。中間の大きさの成分Aは孔の途中まで入ることができます。孔の奥に入ることができる成分はそれだけカラムの中に留まる時間が長くなりますので、カラムから出てくる順序は@、A、Bの順となります。このように、サイズ排除モードによれば試料中の各成分の分子量の大きさの順に分離できます。
 (図−10)に示すようにCの外径がちょうど孔の口径と同じとしますと、Cより大きいD、Eのいずれも孔の中に入ることのできない点ではCと同じで、C、D、Eは大きさに差があるにもかかわらず同時にカラムから出てきますので分離できません。孔の中に入ることのできない最も小さい分子量のもの(この場合ではCのことになります)を「排除限界分子量」といいます。別の言い方をすれば、カラムの排除限界分子量を越えた分子量の成分同士の分離はできません。
 サイズ排除カラムの場合は、測定対象の成分の分子量に合わせてカラムの選択ができるように、孔の大きさの異なるカラムが数種類取り揃えられています。それぞれのカラムの排除限界分子量がカタログに示されていますので、測定する成分のうち最も分子量が大きい成分の分子量がカラムの排除限界分子量を越えないようにカラムの選択を行う必要があります。なお、サイズ排除モードの場合は、測定する各成分のうち最も分子量の大きい成分の分子量がカラムの排除限界分子量を越えない範囲で、なるべく排除限界分子量が小さいカラムを選択した方が分離は良くなります。
  分子量は、分子を構成する各原子の数と原子量を掛け合わせたものを合計して求めます。例えば、メチルアルコールはCH3OHで水素(H、原子量1)が4つ、炭素(C、原子量12)が1つ、酸素(O、原子量16)が1つありますので、分子量は1×4+12×1+16×1=32となります。
(図−11)

 なお、サイズ排除の場合で注意しなければならないのは、分子量の大きさと実際の分子の大きさとは必ずしも比例しないということです。
  (図−11)に示すように、2つの物質の分子量が同じでも、@のように構造が粗な場合と、Aのように構造が密な場合とでは、実際の大きさは異なることになります。また、同じ物質でも用いる溶離液の種類によって構造が密になったり粗になったりして、実際の大きさが変化することがありますので注意が必要です。カタログには排除限界分子量の測定に用いた試料と溶離液とが記載されていますので、それと同じ条件で測定する場合は問題ありませんが、排除限界分子量を求めるのに用いた試料と測定しようとする試料とが異なる場合、または試料が同じでも溶離液が異なる場合は、カタログの排除限界分子量の値はおおよその目安にしかなりません。 
   
16−2.分子量分布の測定

 これまでの分離モードでは、サンプル中に含まれる各成分の分離が目的でしたが、サイズ排除の場合は、この他にポリマーの分子量分布を求めるという目的があります。例えば、ポリスチレンは次のような化学構造をもっています。


 つまり、スチレン C6H5CH=CH2がいくつもつもつながったものです。
スチレンの分子量は104(=12×8+1×8)ですので分子量が104万のポリスチレンはスチレンが1万個つながったものです。ところが、実際にポリスチレンを製造する場合には、スチレンを1万個つなげたものだけを製造するという訳にはいきません。スチレンを1万個つなげたものを製造しようとしても実際には個数にばらつきができ、10,000個のものの他に10,012個のものとか 9,985個のものとか、さまざまな個数のものが製造され、10,000個を中心とした広がりをもったものとなっています。これを分子量分布といいます。
 分子量分布を求めるにはまず較正曲線を求めます。そのためには、分子量が分かっているポリスチレンの標準試料をいくつか測定しします。例えば、(図−12)のような測定を行い、これから、各分子量(MW: Molecular Weight)に対応するピークの頂点の時間(溶出時間=ET: Elution Time)を求め、その結果として表に示したデータがえられたとします。

(図−12)                 (図−13)

MW
9,120,000
1,100,000
400,000
128,000
33,000
6,200
1,350
ET
12.3分
13.9分
14.8分
15.8分
17.1分
18.8分
20.0分

  このデータを(図−13) a)に示すように、縦軸に分子量を対数でとり横軸には時間をとってプロットし、これらの点をつなぎあわせた線が較正曲線となります。次に、分子量分布を求めようとするポリスチレンの測定を行い、b)のようなクロマトグラムがえられたとします。このピークの始まりが13.9分で、ピークの終わりが18.8分であるとすれば、このポリスチレンには分子量が6,200 から1,100,000 までのものが含まれていることが分かります。
 分子量分布を求めることはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリマーの物性を知る上で重要であり、この目的のためにサイズ排除モードが用いられています。  分子量分布の他にポリマーの物性を表す指標として重要なものに平均分子量があります。平均分子量には、各分子量の数を平均して求める数平均分子量(Mn)、数だけでなくその重量を加味して求める重量平均分子量(Mw)、分子量分布のピークの頂点の位置から求められるピークトップ分子量(Mp)などがあります。
(図−14)
  Mpはb)の分子量分布の頂点の位置から求められ、較正曲線からおよそ100,000 と求められます。Mn、Mwは多少複雑な計算を行わないと求められませんがここでは詳細の説明は省略します。
 最近のデータ処理器にはMn、Mw、Mpを自動的に計算するプログラムが内蔵されていますので計算方法を覚える必要がなく、非常に便利です。

 また、実際の較正曲線は(図−14)のようになります。排除限界分子量を越える分子量の成分は全て同じ時間に出てきます。また、較正曲線には、直線性のある部分と、直線性のない部分とがあり、分子量分布を求めるためには較正曲線の直線性のある部分だけが使用できます。


(図−15)
16−3.サイズ排除による分離

 サイズ排除は、分子量分布の測定だけではなく、試料中の成分同士の分離にも用いられます。大きな孔の開いた(排除限界分子量の大きい)ゲルは、主にポリマーの分子量分布の測定に用いられ、小さな孔の開いた(排除限界分子量の小さい)ゲルは、主に分子量の小さい成分同士の分離に用いられます。

 (図−15)に示したような較正曲線をもった2つのカラムがある場合は、3つの分子量が異なる成分(A、B、C)を分離した場合に、(1)のカラムに比べて(2)のカラムの場合の方がピーク間の隔たりが広くなりますので、それぞれのピークが完全に分離されることになります。
 つまり、較正曲線の傾きがなるべく緩やかなカラムの方が分離性能が良いといえます。


16−4.サイズ排除モードの分類

 サイズ排除は正確にはサイズ排除クロマトグラフィといいます。英語ではSize Exclusion Chromatography といい、頭文字をとってSECといいます。
 SECは、溶離液として水溶液を用いる場合と、有機溶媒を用いる場合とに分類されます。
 有機溶媒(THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルムなど)を用いる場合を、英語でGel Permeation Chromatography と言い、頭文字をとってGPCと言います。また、有機溶媒系SECという言い方をすることもあります。英語をそのまま訳したゲル浸透クロマトグラフィという用語もありますがあまり用いられていません。GPCは、1964年に米国のJ.Mooreが架橋ポリエチレンゲルを用いて、合成高分子の分子量分布を測定したことから始まり、合成高分子の分野で広く用いられるようになりました。HPLCが著しい発展を遂げた現在においても、疎水性高分子やオリゴマーの分子量情報に関する分析方法として大変有用な手法といえます。
  水溶液を用いる場合を、英語でGel Filtration Chromatography と言い、頭文字をとってGFCといいます。また、水系SECという言い方をすることもあります。英語をそのまま訳したゲルろ過クロマトグラフィという用語もありますが同様にあまり多くは用いられません。GFCは、スエーデンのJ.PorathとP.Flodinが架橋デキストランゲルを用いてタンパク質の脱塩を行ったのが始まりです。架橋デキストランゲルを充てんしたカラムは現在でも市販されていますが、その後の充てん剤の進歩はめざましく、さまざまな充てん剤を充てんしたカラムが生化学や医薬品の分野に用いられています。
このように用語の使い方が錯綜していますので注意が必要です。これをまとめると次のようになります。

     ┌──溶離液が有機溶媒:GPC(または有機溶媒系SEC)
 SEC──┤
     └──溶離液が水溶液:GFC(または水系SEC)

17.GFCカラム

  GFC(水系SEC)用のカラムには、シリカカラムとポリマーカラムとがあります。
  この2つを比較すると、較正曲線の傾きがシリカカラムの方が緩やかですので、シリカカラムの方が分離が優れているといえます。しかし、シリカゲルの場合はゲルに大きな孔を開けるとシリカの構造が崩れてしまいますので、あまり大きな孔を開けることができません。したがって、大きな孔の開いた(排除限界分子量の大きい)ゲルは作ることができません。これに対して、ポリマーゲルの場合はゲルの構造がシリカゲルに比べて丈夫なので、かなり大きい孔を開けることができます。また、ポリマーゲルは化学的にもシリカゲルより安定ですので、溶離液として使用できる溶媒の範囲がポリマーゲルの場合の方が広いという特長があります。
 シリカカラムは、タンパク質をはじめとして糖タンパク、ペプチド、核酸などの分離に使用されます。
 ポリマーカラムは、シリカカラムの場合と同じ用途の他、シリカカラムでは測定できない分子量の大きい水溶性ポリマー(水溶性超高分子)の分子量測定に用いられます。

18.GPCカラム

  GPC(有機溶媒系SEC)には通常ポリマーカラムが用いられます。ポリマーカラムに最もよく用いられているゲルはポリスチレンゲル(正確にはポリスチレン・ジビニルベンゼン共重合体)です。
 GPC分析の場合、まず試料を溶かすことのできる溶媒を見つけることが必要になります。GPC用の溶媒として最もよく用いられる溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)です。THFに試料を溶かすことができれば問題ありませんが、溶かすことのできない場合は試料を溶かすことのできる溶媒を探すことが必要になります。
  THFの他には、クロロホルム、DMF(ジメチルホルムアミド)、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)、キノリン、o(オルト)−ジクロロベンゼン、酢酸メチル、テトラクロロエタン・・・・などがGPC用の溶離液として用いられます。カラムの出荷時の封入溶媒と同じものを溶離液として用いる場合は問題ないのですが、使用しようとする溶媒がカラムの封入溶媒と異なる場合は、まず、カラム内の溶媒を使用する溶離液に置き換える必要があります。また、一般的にはサンプルを溶かした溶媒をそのまま溶離液として用います。

19.リニアカラム

 GPCおよびGFCの場合には、カラムの長さが長くなるほど分離が良くなります。(カラムの長さが長くなると測定に必要な時間が長くなり、溶媒の使用量が増えるという欠点はありますが。)ただし、長さの長いカラムは使いにくく、以前は50cmのカラムが主流でしたが、現在では30cmのカラムが主流となっています。分離性能を上げるために2倍の長さのカラムがほしい場合には、2本のカラムをつなげて使用するというように、GPCの場合は複数のカラムをつなげて使用する方が一般的といえます。
  複数のカラムを使用する場合は、普通は同じタイプのカラムをつなげて使用します。例えばShodexのカラムでいえばKF-806というカラムを2〜4本つなげて使用するというような方法が一般的です。これとは異なり、低分子から高分子まで幅広い分子量範囲の試料を測定したい場合に、低分子用のカラムと高分子用のカラムとをつなげて使用することがあります。例えばKF-803とKF-805という2本のカラムを使用するというような場合がその例です。この場合に問題となるのが、較正曲線の直線性ということです。つまりそれぞれのカラムの較正曲線が直線でも、それをつなげた場合の較正曲線は直線とはならない場合があるということです。したがって、異なるカラムをつなげて使用することはあまり勧められません。このような問題を解決するために開発されたのがリニアカラムです。リニアカラムは幅広い分子量範囲をカバーすることができしかも較正曲線が直線になるように設計されていますので非常に使いやすいカラムといえます。例えばKF-803とKF-805をつなげて使用する代わりに KF-805Lを2本使用することにより、広い分子量範囲で較正曲線の直線性が保証されます。
  最近ではLFシリーズという1つのゲルに様々な細孔を持った細孔多分散型のGPCカラムを開発し、より較正曲線の直線性を高めました。このカラムでは、数種類のゲルを混合充てんしたミックスカラム使用時に現れやすかったクロマトグラム上のコブを改善します。

20.ダウンサイズカラム

 一般的なお客様の要望として、分析に必要な時間はなるべく短くしたいということがあります。また、GPCで使用される各種有機溶媒は環境問題を考えますと廃棄するにしてもそれなりの手間がかかりますので、使用する有機溶媒量を減少させたいという要望もあります。カラムサイズを小さくすれば、測定に必要な時間を短縮し、溶媒量も減少させることができます。ただし、単にカラムサイズを小さくしたのでは分離の性能が低下してしまいます。
 カラムサイズを小さくして、なおかつ、元のカラムサイズの性能を維持するには、カラムに充てんされるゲルの粒径を小さくすることが必要です。このような目的のためにカラムの小サイズ化が行われており、これをダウンサイズ化といいます。ShodexのGPCカラムのダウンサイズ化の歴史をたどれば次の通りとなります。
          シリーズ名                カラムサイズ   カラム内容積  ゲル粒径

   @GPC A-800, AC-800, AD-800他  8.0mmID x 500mm 25.1mL  10μm
   AGPC KF-800, K-800, KD-800他  8.0mmID x 300mm 15.1mL   6μm
   BGPC KF-600他 6.0mmID x 150mm 4.2mL   3μm
   CGPC KF-400HQ 4.6mmID x 250mm 4.2mL   3μm

@→A→B→Cの順にダウンサイジング化が行われ、内容積は小さくなっていますが、これに伴ってゲルの粒径を小さくした結果、小さい内容積で同等のカラム性能を実現することができ、分析時間の短縮、消費溶媒量の減少が可能になっています。
 実際の使用方法はつぎのように考えて下さい。
@GPC A-800, AC-800, AD-800 シリーズは、既に過去の遺物といえます。これまで蓄積してきたデータとの比較を行うためにどうしてもこのカラムが欲しいという方以外には勧められません。
AKF-800, K-800, KD-800, HFIP-800 シリーズ(リニアカラムを含む)は現在の標準カラムです。
BKF-600, K-600, HFIP-600 シリーズは迅速分析を目的としたカラムです。
CKF-400HQシリーズは高分解能分離が可能となりました。
B、Cのカラムはダウンサイズ用のGPC装置と共に用いないと性能を発揮させることが難しいので、専用の装置をお持ちでない方にはむしろAをお勧めいたします。

21.難溶性ポリマーの分析

 THF、クロロホルム、DMFなど、通常使用されるGPC用の溶媒に溶解できない試料の場合、次の2つの方法のいずれかが使用されます。
  1)高温GPCによる方法
  2)HFIP溶媒による方法
  以下に、この2つについて説明します。

21−1.高温GPC

 PE、PP(ポリエチレン、ポリプロピレン)などの汎用プラスチックは、常温では溶解できませんが、140〜150℃の高温では溶解できますのでこの温度でのGPC分析により測定を行なうことができます。高温用のGPCカラムとしてはトルエン溶媒を封入したGPC AT-800シリーズが広く使用されてきましたが、最近になって開発されたGPC HT-800シリーズはGPC AT-800 シリーズを更に高性能化したものです。
 また最近では、より高温でGPC測定を行いたいという要望があります。これに応えるため、 230℃まで使用可能なGPC UT-800シリーズも開発されています

21−2.HFIP溶媒

 上記のように難溶性の試料は高温GPCで測定することができますが、そのためには高価な高温用GPC装置を購入しなければなりません。また、高温GPC装置は温度の安定に時間がかかり、連続的に使用している場合は良いのですが、停止している装置を使用する場合には測定開始までにかなりの時間がかかります。
 PET(ポリ(エチレンテレフタレート)のことでペットボトルと呼ばれる透明な容器に使用されている樹脂のことです)、PBT(ポリ(ブチレンテレフタレート)のことでPETに似た樹脂です)、ナイロンなどは従来は高温GPCを使用しないと測定できないとされてきましたが、HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)という溶媒を用いると常温で溶解できることが判りました。GPC HFIP-800シリーズはHFIP溶媒を封入したカラムで上記のような試料の分析に用いられます。ただし、HFIPは非常に高価な溶媒ですのでHFIP-800シリーズは他のGPCカラムに比べてかなり高価ですが、これは溶媒の価格の差によるものです。HFIP溶媒のカラムは高価ではありますが、高温GPC装置を購入することと比較すればそれほど高価とはいえません。また、実際の測定に使用されるHFIPは使用後は蒸留して再使用することができますのでランニングコストもそれほど高価ではなく利用価値があるカラムといえます。

22.マルチモードカラム

 Asahipak GS-HQシリーズカラムは非常にユニークなカラムです。溶離液条件の選択方法によっては、GFCモードのカラムとしても使用できますが、より効果的な使用方法はマルチモードで使用することです。
 マルチモードとは、GS-HQ シリーズに特有の分離モードで、GFC、イオン交換、分配・吸着の3つのモードの内、2つまたは3つのモードが同時に作用して分離が行われるモードのことをいいます。なお、「マルチモード」という用語はShodexで提起した用語で一般的な学術用語ではありません。
 一般のGFCモードのカラムの場合にも、溶離液条件が適当でないとGFCモード以外の分離モードが作用することがあります。普通は、このような分離モードの存在は純粋なGFCモードによる測定を乱すものとして嫌われます。
 GS-HQ シリーズの場合は、GFCモード以外の分離モードをGFCモードと積極的に並存させて測定を行います。GFCモード、イオン交換モード、分配・吸着モードそれぞれ単独では実現できない分離が、これらのモードの組み合わせにより実現できる場合があり、マルチモードは時として有効な分離モードといえます。
 まず最初に単独の分離モードで分析を行い、どのような分離モードを用いても満足できる結果をえることができない場合にマルチモードを試してみる価値があります。
 マルチモードの欠点は事前に分離のパターンを予想することが難しいという点です。GFCモードの場合は成分の分子量の大きさの順に、イオン交換モードの場合は成分のイオン性の順に、分配・吸着の場合は成分の疎水性または親水性の順に溶出されますが、マルチモードの場合にはこれらの要素が複雑に絡み合った形で溶出順序が決まりますので、溶出パターンの予測が難しいということです。簡単にいえば、どのような溶出パターンになるかはやってみないと分からないといえます。これを逆にいえば、思わぬ分離パターンがえられることがあり、どうしても分離できなかった分離がマルチモードで実現できる場合もあるという訳です。

23.水・有機溶媒両用SECカラム

  前にも説明しましたように、GFCカラムは水溶媒で、GPCカラムは有機溶媒で使用されます。例えば、GFCカラムである SB- 800 HQシリーズは、DMFなどの一部の有機溶媒とは使用できますが、THF、クロロホルムといった一般的な有機溶媒とは使用できません。もし、SB-800 HQをTHF、クロロホルムなどと用いるとカラムが壊れてしまいます。また、GPCカラムは水溶媒では使用できず、溶媒に多少の水が含まれているだけでもカラムを壊してしまいます。
 したがって、GFCとGPCを行おうとすると少なくとも2本のカラムが必要な訳ですが、GF-HQ シリーズは、GFCとGPCとを1本のカラムで行うことができるという画期的なカラムです。GF-HQ シリーズカラムは、水からTHFまで、GFCあるいはGPC用の溶離液として用いられるほとんどすべての溶媒が使用可能です。これほど広い溶媒範囲で使用できるカラムは世界的にも他に例のないものでShodexだけのユニークなカラムといえます。
 ただし、GFC専用あるいはGPC専用として用いる場合は、それぞれの専用カラムを用いた方が分離が良いといえます。例えばGFCの場合であればSB-800 HQ シリーズ、GPCの場合であればKF-800シリーズなどの方が専用カラムとして高性能といえますので、溶離液を変更する必要のない場合は専用のカラムの方をお勧めします。