| Shino | 先輩たいへんで〜す。リンゴ酸のピークが2本でてくるんですけど…。DとLが分かれたんでしょうか? |
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| 先輩 | D体とL体が分離したって? それはすごい!…と言いたいところだけど…、まあ分離条件など詳しく聞いてからにしようか。 |
| Shino | え〜と。RSpak
KC-811のカラムで有機酸を分析しようと思って、まず標準物質のリテンションタイムを測っていたんです。クエン酸、コハク酸と問題なく1本のピークだったんですけど、
リンゴ酸を注入したらピークが2本現れてきたんです。これが測定条件とリンゴ酸のクロマト(図-1)です。
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| 先輩 | あ〜ほんとだ! 完璧に分離しているね。それで〜と…、なるほど思った通りだ。Shinoチャン、検出器をRI検出器に替えてもう一度やってみてくれるかな…。説明はそれまでオ・ア・ズ・ケ。 (翌日になって) |
| Shino | 先輩たいへんで〜す。RI検出器で測定したら1本のピークしか出てきません。それもUV検出器では大きく現れた方のピークが消えてしまったんです。先輩! ニヤニヤしないで理由を教えてください。 |
| 先輩 | 非常に初歩的なミスだね! UV検出器を210nmの波長にセットした場合、ほとんどの試料成分がUV吸収を示すので、一般によく用いられる検出方法だけど、ここに落とし穴があるんだよね! UV検出器では、試料成分の化学構造によって、検出感度(吸光係数)が著しく異なるため、必ずしも含有量とピーク高さが一致することにはならないんだよ。つまり今回の場合、おそらくリンゴ酸中に不純物があって、その成分の
210nmにおける吸光係数が著しく大きいため、主成分のリンゴ酸ピークより大きなピークとなって現れたんだと思うよ! UV 210nmでの検出は、ベンゼン環を持たない化合物でも検出できるため、広く用いられているけれども、化学構造の異なる成分が多数存在するような試料の検出に使用する場合には注意が必要といえるね。とんでもないミスをすることがあるから。リンゴ酸中の不純物は分析条件から考えて、たぶんC=C結合をもった有機酸じゃないかな…。 |
| Shino | 検出器の選択で、そこまで考えたことはなかったわ〜…。 |
| 先輩 | RI検出器は何でも検出できる汎用検出器と言われているけれど、UV(210nm)検出器と違うところは、物質ごとの屈折率差がUVほど大きくないので、多くの場合、成分濃度に見合った大きさのピークがクロマト上に現れるところだよ。つまり含有量の多い成分は大きなピーク、少ないものは小さなピークとなるわけだね。そのためリンゴ酸中の微量不純物はピークとして現れてこなかったんだと思うよ。Shinoチャン、これを機会に各検出器の特徴をもう一度勉強し直す必要があるね! でないと新人に追いこされちゃうよ。 |
| Shino | え〜、そんな〜。意地悪ばっかり言うんだから〜。 |
| 先輩 | ついでだからもう少し話しておこうか…。 当然検出器は分析の目的によって使い分ける必要があるけれど、普通はUVとRI検出器を直列に接続して用いるのがいいね! UV検出器の波長をうまく選択すれは、UVとRIのピーク強度比から簡単な定性分析も可能になるなどメリットもでてくるんだ。ただし、この時は必ずUV検出器をカラムの次に、そしてその後にRI検出器を接続しないと大変なことになるよ! |
| Shino | どうなるんですか? |
| 先輩 | UV検出器のフローセルは、分解掃除したことがあるだろう? |
| Shino | ええ、2枚の光学ガラスで出来た簡単な構造だから私でもセルの交換がとっても簡単でした。 |
| 先輩 | RI検出器のフローセルは見たことがあるかな? |
| Shino | 直方体のガラスが真ん中で仕切られているんでしょ? 実際に見たことはないですけど、HPLCの本によく出てますよね。 |
| 先輩 | そう、RI検出器のフローセルはとっても微妙な構造をしているから、UV検出器のフローセルに比べて、少し耐圧が低いんだよ。RI検出器の下流側に何かを接続すると、フローセルに背圧がかかって、フローセルが壊れてしまう可能性があるんだよ。だから、大事に使わなくちゃね。 |
| Shino | はーい、今後は注意します。 |
| 先輩 |
それからもう一つ。今回のことでも分かるように、有機酸を分析する場合、UV検出器よりはRI検出器をすすめるね。ただし食品分析などの場合、夾雑成分によって有機酸の検出が妨害される恐れがあるので最良の検出方法とは言えないんだな! 最も良い方法は、つまり有機酸だけを検出できる方法があれば一番いいんだよね。例えばShodex 有機酸分析セット(OA)(販売停止)のようなポストカラム発色法を用いると夾雑成分の影響を受けることなく有機酸分析が行えるんで信頼性の高い分析が行えるんだよ。ここにそのデータ(図-2)があるから参考にするといいね! |
| Shino | あ〜本当だぁ。私ももっと勉強しなくっチャ〜…。 |