| 後輩 | Shinoセンパイ、糖の分析の原理を教えてください。 |
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| Shino | Shodex SUGARシリーズのこと? |
| 後輩 | そうです。糖分析用カラムでもSUGAR KS-800シリーズならGFCだからよく分かるんですけど、配位子交換モードはよくわからないんです。 |
| Shino | グルコースのようなヘキソースは、安定なイス型のピラノース環になって… |
| 後輩 | あ! アクシャルとかエカトリアルとか、なつかしいですね。 |
| Shino | それを知っていれば大丈夫、SUGARカラムの原理もよくわかるわよ。スルホ基(●−SO3-)を結合させた充てん剤の対イオンとしていろいろな金属イオンをつけたのが、SUGARカラムなのよ。(●SO3-M+) |
| 後輩 | フーン(……それとイス型と、どんな関係があるのかしら……) |
| Shino | はじめ金属イオンは溶離液の水と水素結合をしているのね。ここに糖が入ってくると、糖のピラノース環についた水酸基が対イオンの金属と錯体を形成して、カラムに保持されるの。これを配位子交換モードというのよ。(後輩:ん!!)隣合う水酸基がax-eq-axの順に並んでいるときは3本の手で錯体を形成しているからtriplet(Fig.1)と呼ばれていて、保持が強くなるの。隣合う水酸基がeq-axだと2本の手で錯体を形成しているpair(Fig.2)だから少し結合が弱くなるわけ。
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| 後輩 | 金属イオンの種類も関係していますか? |
| Shino | もちろん、錯体形成能に影響しているわ。だからSUGARシリーズにもいろんな金属イオンを結合させたカラムがあるでしょ。錯体形成能はだいたいLi+ < K+ <
Na+ < Ag+( < )Zn2+ < Ca2+ <
Pb2+の順に強くなっていると考えたらいいわ。それに、そもそも分析される糖の1分子中に、何個のtripletやpairがあるかも影響するわね。 |
| 後輩 | (総合カタログを見ながら)SUGARシリーズのSZ5532はZn型で、SC1011はCa型、SP0810はPb型ですね。あら、同じ考え方でいけばGFCのSUGAR
KS-800シリーズもNa型なわけですよね。GFCなのに配位子交換もするんですか? |
| Shino | いいところに気がついたわね。KS-800シリーズはGFCモードがメインだけど、配位子交換モードも効果的に働くから、糖のGFC分離に向いているのよ。 |
| 後輩 | それで糖用のGFCカラムが特別にあるんですね。それから、SUGARシリーズのSH1011は対イオンが水素ですけど、この場合は糖の水酸基と水素結合するって考えればいいですか? |
| Shino | というよりSH1011は有機酸と糖の同時分析用カラムとして開発されたの。溶離液に過塩素酸水溶液を使って有機酸の解離を抑えれば、溶出を握らせることができるし、同時に糖はGFC的に分離されるという、とっても便利なカラムなのよ。 |
| 後輩 | もう、これで万全だわ。 |
| Shino | それじゃあ、やってしまいそうな失敗を考えてみましょう。 |
| 後輩 | いいですよ。……カラムから金属イオンがとれたり、違う金属イオンになってしまったらだめなんですよね。だからSC1011とかSP0810は溶離液が水なんですね。 |
| Shino | 溶離液が“水”というだけでは、安心できないんだなぁ。 |
| 後輩 | えー?! どうしてですか? |
| Shino | どんな“水”なの? |
| 後輩 | ????? |
| Shino | 蒸留だけではなく、脱イオンもした水を使ってくださいね。つまり純水ってこと。オートスチルの電気伝導度が基準内に入っているかどうかもチェックしないとだんだんカラムが劣化して分離が悪くなってしまうわよ。 |
| 後輩 | 溶離液に他の金属イオンを入れると対イオンが置き換わっちゃうのね。それなら、Ca型のカラムにPbイオンの入った溶離液を使えば、Pb型のカラムを自分で作れますね。 |
| Shino | そこがシロウトの浅はかさなの。カラムに充てんされた状態で、充てん剤の対イオン全部をきれいに置換するのは難しいし、第一、充てん剤は対イオンの種類によって膨潤度が大きく違うのよ。充てん剤が小さくなってしまうような場合は充てん状態が崩れて隙間があいちゃうし、充てん剤が膨らむような場合はカラム圧が高くなって充てん剤がつぶれちゃうわね。どっちにしても再生は不可能です。 |
| 後輩 | だめかぁ。(気をとりなおして)そういう事故を防ぐためにガードカラムがあるんですね。溶離液は注意できても、サンプルに金属イオンがはいっていたらどうしようもないですものね。 |
| Shino | 少しならいいけれど、たくさん入っているようなときはサンプルの前処理をした方がいいわ。NaClの場合ならAg型の陽イオン交換樹脂を通せばOKね。 |
| 後輩 | どうしてAg型なのかしら…… |
| Shino | NaClが入ってくるとAgClができて沈澱しちゃうから、陽イオン交換樹脂はNa型になるわよね。pHも変化しないし簡単だし便利でしょ?! |
| 後輩 | どこで買えばいいんですか? |
| Shino | 自分で作れるわよ。粒度の大きなH型の陽イオン交換樹脂をデイスポーザブルの注射簡に詰めて硝酸銀を流すだけでAg型になるから水で洗ってから使ってね。 |
| 後輩 | “水”じゃなくて、純水でしょ?! |
| Shino | その通りだわ。それから、溶離液に塩を入れないと測定できない場合もあるんだけど、どんな場合だと思う? |
| 後輩 | え〜?! 塩ですか? GPCのときなんかに塩を入れるのはイオン排除を防ぐって教わったけど……対イオンがプラスのチャージだから、同じ電荷を持ったサンプルのことかなあ。アミノ基のついた糖のときですか? |
| Shino | そうよ、それにマイナスに解離するサンプルだと吸着されちゃうでしょ。だから酸性糖やアミノ糖がサンプルのときは、溶離液に塩を加えるのよ。 |
| 後輩 | 塩って言ってもNaClはだめだし、LiBrもトリフルオロ酢酸ソーダもだめだし…ウーンわからない。何を使うんですか? |
| Shino | あら、難しいことはよくわかるのに簡単なことの方が苦手なのね。カラムの対イオンが入っている溶離液を使えばいいでしょ!?Na型のカラムならNaClを入れたっていいのよ。 |
| 後輩 | なあ〜んだ。簡単すぎて気がつかなかったわ。 |
| Shino | それに、もしサンプルに有機溶媒が入っているようだったら、溶離液で希釈して充てん剤が収縮しないように注意しないとだめよ。 |
| 後輩 | 注意しなきゃいけないことがいっぱいですね。 |
| Shino | そんなことないわ。基本は溶離液が水なんだし、『サンプルを溶離液に溶かす』っていうのはHPLCの基本でしょ。オーバーロードに気をつけるっていうのも同じように基本よね。 |
| 後輩 | そうですね。配位子交換できる金属イオンの数が決まっているんですものね。もうSUGARカラムは使いこなせそうですね。 |
| Shino | とりあえずはね。それと、アノマー分離についても勉強しておくといいわね。 |
| 後輩 | はいありがとうございました。 (まだまだ、勉強することがいっぱいある……ウーン頭がいたい……) |