ベースラインのドリフト(1 : GPC編) ニュースレターNo. 9

Shinoセンパ〜イ、ちょっと待ってください。
GPC KF-806の較正曲線を作ろうとしているんですけれど、RI検出器のベースラインドリフトがひどくて感度を上げられないんです。
先輩RI検出器の感度は、どのくらい?
Shino 8×10-5RIU/FSのレンジです。だけどベースラインはかなりドリフトしています。
先輩それはちょっとひどいね。それじゃRI検出器を使うに当たっての初歩的なテクニックを伝授してあげよう。
1) THFは安定剤(BHT)の入ったものを使うこと。開封してから時間の経ったものや古くなったものは使わないこと。
2) 溶離液は充分に脱気したものを使用すること。常に一定の脱気状態が得られるDEGASSER(溶存ガス除去装置)を使用すると便利だね。
3) ドリフトが起きた場合は、RI検出器のリファレンスセルの溶媒を交換(パージ)する。パージを行う場合は流量を1〜1.5 mL/minにして、パージスイッチのON、OFFを1分おきに4〜5回繰返した後、ONの状態で3〜4分間リファレンスセルに通液する。これだけでほとんどのドリフトは改善されるはずだよ。もし、これでもドリフトするような場合は、流路系(カラムを含む)やセルの汚れなどをチェックする必要があるね。
Shinoそういえば私、棚にあったHPLC用のTHF(BHT無添加)を使ってたわ! だって高純度試薬の方が良いデータがとれると思ったんですもの。もう一度やり直してきま〜す。
先輩オ〜イShinoチャン、まだ続きがあるんだけど。まあいいか。
(しばらくして)
Shino 先輩、おかげさまで2×10-5RIU/FSのレンジで使えそうです。でもまだ少しドリフトがあるんですよね〜。マル秘テクニックがあるんじゃないですか?
先輩Shinoチャンは、RI検出器におけるベースラインドリフトがなぜ起こるか考えたことがあるかい?
Shinoいいえ〜。
先輩 RI検出器のベースラインドリフトが生じるということはつまり、サンプル側とリファレンス側のセル中に存在する溶液の微小な屈折率差が少しずつ連続的に変化していることだと考えられるよね。
このような屈折率の変化を生ずる原因、つまり温度変化、THFの劣化、溶存ガス量の変化、溶存水分量の変化、流路系の汚れなどを推定し、それに応じたドリフト防止策を講じてやれば良いわけだ。
Shinoチャンがまだやってみていないドリフト対策は何かあるかな?
Shinoエ〜と。カラムは恒温槽に入っているし、THFも安定剤が入っているし、DEGASSERも使ってるし…。あ〜! 水分ですか〜? 雨ばっかり降っていたから湿度は高くなっていると思うけど、でもそれがドリフトの原因だなんて信じられない〜。
先輩 THF、DMF、DMSO、HFIPなど極性を持った溶媒は大気中の水分をかなり吸収すると考えてもいいと思うよ。
溶離液瓶中のTHFに水分が少しずつ溶け込んで、それが原因で屈折率が微小変化していることは充分考えられるね。だまされたと思って溶離液瓶に除湿管を付けてみてはどうかな? (図参照)

Shino(翌日)センパ〜イ、これ見て下さい。だいぶ安定してきたでしょう。これなら1×10-5RIU/FSのレンジでもイケますよね? ほんと にチョットしたことでも意外に効果があるんですね!

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