溶出時間の変動(1 : GPC編) ニュースレターNo.10

Shinoセンパ〜イ、大変で〜す。
先輩どうしたの?
Shino カラムを壊したみたいなんです。先週のGPC測定では7.5分に出ていたピークが、今日測定したら8.5分に溶出してくるんです。つまり〜、カラムにすきまでもできたんじゃないかって……。
先輩ホ〜、Shinoチャンに酷使されたんで、カラムが今ごろになって夏バテしたんじゃない。
Shino先輩! まじめに聞いてください。
先輩Shinoチャン、カラムトラブルの場合、まず第一にすべきことは何だったかな? 
Shino え! ……? あ! カラムの検定チャート通りの方法で、カラム1本毎の性能をチェックすることです。
先輩よく分かっているじゃない。だったら、すぐやってみなくっちゃ!
(しばらくして)
Shino できました〜。前にチェックした時より、ベンゼンの溶出時間が約1分遅くなっていました。理論段数は17,000/本で性能は落ちていませんでした。私は、てっきりすきまができて溶出が遅れたんだと思ったんですけれど、違ったみたいですね。良かった〜。
先輩 Shinoチャン、溶出時間が少し遅れたり、早くなったからといって、すぐカラムのせいにするのは早計だよ。チョット考えてみれば分かることだけど、仮にすきまができたとしても、GPC測定における溶出位置は変わらないはずだよ。
Shinoじゃ〜どうして溶出が遅れたんですか〜?
先輩ポンプの流量が何らかの原因で設定値より少なくなったんだね。プランジャーシールの寿命が来たり、ポンプの弁にゴミやエアが引っかかったり、流路系に液モレがあったり、ちょっとしたことで流量の低下は起こるものだよ。特にガードカラムが詰まって圧力が上がった時などに起き易いから注意が必要だね。
Shinoポンプをチェックしてみま〜す。
でも私の場合、溶出時間が1分も遅れたから、すぐ分かったけれど、これが20秒程度だったら気が付かなかったわ。これからは、もっと注意してやりま〜す。
先輩その通り!
特にGPCによる分子量分布測定の場合、較正曲線用の標準試料を測定した流量と、実試料を測定した流量とが違ってしまうと正確な分子量分布測定が行えないから注意する必要があるよ。
GPC測定における溶出時間は、同一試料であっても、室温の変化やポンプの調子によって微妙に変化することがあるから、精度の良い分子量分布測定を行う場合は、常に溶出時間に注意しなければいけないよ。
Shinoハ〜イ、分かりました。
でも先輩、どうやって溶出時間の微妙な変化をチエックすればいいんですか?
先輩Elution Markerを使うといいよ。
ShinoElution Markerって何ですか?
先輩 内部標準物質とかInternal standardとも言うよね。較正曲線用の標準試料と実試料の各々にMarkerとなるような物質を加えておくんだよ。Markerには、実試料成分と溶出位置が重ならないような低分子、例えばベンゼンとかエチレングリコールとかを測定系に応じて用いるといいね。もっとも実試料中にMarkerとして適当な成分が入っている時は、それを使ってもいいけれど……。
Shinoアッ! 分かった! Elution Markerが常に同じ時間に出ていれば正常な測定ができていて、遅れたり早くなったりした場合は、注意が必要ということですね!
先輩そうだよ。Markerの溶出時間が変化した場合、普通は標準試料を再測定して、較正曲線を作り直すんだけれど、Markerの溶出位置のズレを基にデータ処理機内で較正曲線の補正を行う簡便法を使うのも手だね。
Shinoはい、わかりました。Elution Markerを使ってみま〜す。

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