逆相・順相クロマトグラフィ用の試料調製方法
逆相/順相分析における試料調製の基本は以下の通りです。
試料調製の基本
◆HPLC用試料は溶離液に溶解し、注入直前に0.4〜0.5ミクロンのディスポーザブ
ルフィルターでろ過した後、10〜50μL注入します。
溶離液に溶解すればVoに出現する溶媒ピークの影響が少なくなるため、Vo付近に溶出する試料の測定に有利です。(カラムサイズ4.6mmID*150〜250mmの場合)
◆オーバーロードを避けてください
【オーバーロードが起きているかどうかの確認方法】
試料を10〜100倍希釈した時に(または試料注入容量をを5分の1に減少させた
時に)ピーク形状が変化する場合は、試料濃度(または注入容量)に関してオーバー
ロードが起きている可能性があります。
◆標準試料の注入容量と実際の試料の注入容量は等しくします。注入容量が異なると
、溶出時間にずれを生じることがあります。
しかし、検定クロマトグラムは正常であるにもかかわらず実際の試料では次のよ
うなトラブルが起こることがよくあります。これらのトラブルはオーバーロードの場
合にも起きますが、主に、不適切な溶媒に試料を溶かしたことが原因で起こります。
トラブル
@リーディングやテーリングが起きる。
A溶出時間がずれる。
Bビークトップが割れる。
C非常にブロードなゴーストピークが出現する。
ただしゴーストピークとして認知出来ないほどブロードな場合はベースラインの 乱れとして観察されます。
Dカラム圧力が上昇する。
E上記のトラブルが特定の試料(またはピーク)にだけ発生する。
それでは、試料を溶かす溶媒はどうやって選べば良いのでしょうか。具体的な例で考
えてみましょう。
逆相分析の場合
50%アセトニトリル溶離液を使用し、水よりもアセトニトリルに溶け易い試料を
測定している場合を想定します。 もちろん溶離液に試料を溶かす限りは、何も間題は
ありません。 やむを得ず溶離液以外の溶媒に試料を溶かすとしたら、何を選びますか
? 100%アセトニトリルですか? それとも50%以下のアセトニトリルに溶か
しますか?
この場合「50%以下のアセトニトリルに溶かす」のが無難な選択です。
第2の選択としては「水に溶かす」のが好ましく、100〜500μL注入する
ことも可能です。 これに対して、「100%アセトニトリル」
を選んだ場合は注意が必要です。 というのも、試料は100%アセトニトリルには良く溶けていますが、カラムに
入って溶離液で希釈されるにしたがって、アセトニトリル濃度が下がるために析出する恐れがあるからです。 軽症の場合はトラブル@Aが起こります。 症状が重くなるに
したがってトラブルBCへと発展します。 一旦折出した試料は簡単には溶けてくれま
せんから、最悪の場合にはトラブルDに至り、カラム交換ということになります。 ま
た、混合試料の場合はトラブルEのようなケースも起こります。 カラム内で試料析出が起きているかどうかを判断する方法は次の通りです。
「試料を溶かし易い溶媒」の量を減らし、その分、注入量を増やしてみます。 つま
り100%アセトニトリルに溶解した試料を25μL注入する代わりに、例えば20%アセトニトリルに溶解した試料を125μL注入してみるわけです。 その結果、上
記のトラブルが解消されるような場合は100%アセトニトリルは試料の溶媒として
不適切であり、カラム内で試料が析出していると考えられます。
順相分析の場合
15%ジクロロメタン/へキサンを溶解液として使用し、ヘキサンよりもジクロロ
メタンに溶け易い試料を測定している場合を想定します。 ここでも溶離液に試料を溶かす限りは、何も間題はありません。やむを得ず溶離液
以外の溶媒に試料を溶かすとしたら? 「試料を溶かし易い溶媒」である100%ジ
クロロメタンに溶かす場合が要注意です。もう、おわかりですね。 このように順相や逆相モードでは、一般に数種類の溶媒を混合した溶離液を使用しています。 このうち「試料を溶かし易い溶媒」には、試料の溶出時間を早める効果があ
ります。 溶離液組成を5〜10%を変えた時に各々の試料の溶出時間が早くなるのか
、遅くなるのかを見た上で試料を溶かすべき溶媒を選択するのがよいでしょう。 もちろん試料を溶かす溶媒と、溶離液が互いに溶け合うことが前提条件であることはいうまでもありません。