Shinoセンパイ。チェックリスト作りも終わってしまいましたね。
そうねぇ。今まで作ったのは「圧力上昇」、「ピーク形状の異常」と「溶出時間の変動」だから・・・・あとは「ノイズの発生」とか「ベースラインの異常」くらいかしら。
すっかり忘れていたわ。ノイズはよくあるトラブルですものね。
それじゃあ今回は「ノイズの発生」のチェックリストを作りましょう。
スパイクノイズなら、任せてください。
え?また何かやったの?
だって、逆相で水/メタノールみたいな溶離液を使うと、スパイクノイズがよく出るじゃありませんか。
それはあなたが、溶離液の脱気を充分にしないからでしょ。
ポンプの前に脱気装置(溶存ガス除去装置)をつければいいのは、わかっているんですけど……
脱気装置をつけるのはもちろんだけど、溶離液を調製した時にちょっと脱気しておくと、かなり違うのよ。
Shinoセンパイ!やり方を教えてもらったことありましたっけ?
あると思うけど……水とメタノールを混ぜた時に、少しだけ減圧にしながら超音波をかけるだけでいいのよ。
なぁんだ。簡単なんですね。
コツも教えてあげようかな。超音波をかけるとすぐに、ワァーって泡が出てくるの。そこで止めたら初心者よ。泡が出終わったなと思った時に溶離液瓶を揺すってみてね。残った泡も出てくるから、これでOKよ。
何度も揺すったら、もっと出てきますか?
今度はメタノールが気化するだけよ。溶離液組成が変わってしまうわよ。
ハーイ、わかりました。でも最初に溶存ガスを取ってしまえば、脱気装置は必要ないんじゃないですか?
やっぱり初心者ね。分析している間に溶離液に少しずつ空気が溶け込んでいくでしょ?! 脱気が不充分で、検出器の出口から時々気泡が出てきているのを見たことあるわよ。
脱気装置も使いま~す。Shinoセンパイ、今だから白状しちゃうけど、カラムオーブンを溶離液の沸点より高く設定していて、気泡を発生させちゃったことあるんです。もう、ブクブクって感じに気泡が出てきたんですよぉ。
そんなこと自慢しないでね。カラムが壊れなかった?
?? 壊れてませんけど……
たぶんカラム圧が高かったから、カラムを出てから気泡が発生したんだと思うわ。運が良かったわね。
もしカラムにエアが入ったら、よく脱気した溶離液を流せばいいですか?
エアが入るとカラムは壊れる、と思った方がいいわ。
絶対にだめですか? 奥の手は?
ダメ元でやるんなら、背圧をかけるという手もあるけど。検出器は絶対に外しておいてね。検出器は背圧をかけると壊れちゃいますからね。
背圧って、どうするんですか?
カラムの出口に透明なテフロンチューブを繋いで、その端を指で抑えて背圧をかけるのよ。もちろんよく脱気した溶離液を使ってね。
カラムが壊れないように、ポンプの圧力リミッターはカラム耐圧にセットしておくんですよね。
そうよ。2 ~ 3秒くらい背圧をかけてしばらくおくと気泡が出てくるわ。
それを気泡が出てこなくなるまで、繰り返すんですか?
その通り、だからカラムにエアを入れないように注意してね。
でもカラムにエアが入ったままでも、取扱説明書についている検定チャートと同じ性能が出れば問題ないわけですよね。
そうねぇ。でもね。大切な測定の最中に突然エアが出てきてクロマトが台無しになったことがあるの。やっぱり、諦めたほうがいいと思うわ。
わかりました。
装置が原因で発生するノイズも含めて、チェックリストを作りましょう。
という訳で、Shinoチャンと後輩合作の「ノイズ発生チェックリスト」お役に立てば幸いです