Shinoセンパイ、この前「圧力が上がった場合のチェックリスト」を作りましたけど、結構役に立つものなんですね。
圧力が上がったっていうと、すぐにカラムが詰まったと考えてしまうけれど、カラム以外の可能性もたくさんあるのがよく分かったでしょう?
それにカラムが詰まるっていうのも、ちょっとした不注意が原因だと思うんです。水/メタノール (80/20)の溶離液で測定しているときに、サンプルをメタノール 100%に溶かして注入するのは、ごく普通のことですよね。でもサンプルはメタノール20 %では析出し易いのかもしれないし・・・。そういうこと、つい忘れがちですよね。
本当にそうなのよね。反対に、水系GPC測定の場合なんかだと、サンプルが溶離液に溶けるからといって安心できないわけ。サンプルと充てん剤とのインターラクションを考えなければね。吸着するかもしれないし、イオン排除効果で実際よりも早く出て来るかもしれないし。
溶けるだけではダメなんですね。わぁ難しい。
ピークとしては出てくるけれど、正しい形なのかどうかを見分ける目を養うっていうのは、なかなか大変よね。
「異常なピーク形状のチェックリスト」でも作ろうかな。
大変だけど、やりましょうか。GPCから始める?
正常な形は、ポリマーの場合やっぱり正規分布ですか?
ポリマーの合成方法にもよるから一概には言えないわ。「クロマトが変形しない」というのもひとつの目安じゃないかしら。高分子側にショルダーができる原因には何が考えられる?
まず、イオン排除ですよね。これは溶離液に塩を加えれえばいいから簡単ですね。ポリマーの分子量が大きすぎて、高分子側が排除されている場合はポアの大きなカラムに代えればいいですね。
高分子同士が会合して、実際より大きな分子として挙動することもあるのよ。
これだけ覚えておけば大丈夫ですか?
高分子の場合は、サンプルの粘度も考えなければならないんだけどその話はむずかしいからまた今度にしましょうね。
サンプル側の原因だけでもこんなにあるんですね。カラム側の原因といったらやっぱりカラムの劣化ですよね。
劣化っていうと、何を想像する?
カラムに隙間ができることかしら。
入口側に隙間ができた場合はテーリングするだけよ。それに、チャネリングといって、カラムの中にバイパス (隙間)ができることもあるの。この時は同じサンプルが異なる経路で溶出されるわけよね。リーディングやショルダーの原因になるわね。それから?
それから?
カラムに不純物が蓄積して、その不純物とサンプルがインターラクションをおこして、サンプルが吸着すると、クロマトグラムが変形することもあるわね。標準サンプルでは問題ないのに特定のサンプルだけで起こる場合もよくあるのよ。特に逆相モードのカラムを水の割合が多い溶離液で使用するような時は、水の中の不純物がカラムに蓄積するトラブルが多いわね。新鮮な純水を使う必要があるわね。
カラムの組合せが不適当で校正曲線に変曲点があれは、クロマトにもショルダーができますね。だからGPCリニアシリーズが必要になったわけですけど。
考えてみると本当にいろいろな原因があるのねぇ。
テーリング、リーディング、ゴーストピーク、ピークがブロードになる。
ピークが出てこない。異常のピークのパターンもたくさんあるわね。チェックリストの作りがいがありそうね。
(という訳で、Shinoチャンと後輩合作の「ピーク形状の異常チェックリスト」お役に立てば幸いです)
ゴーストピークを見つけたら、インジェクターを分解掃除してみてください。
サンプル瓶やディスポーザブルフィルターから何かが溶け出していることもありますのでご注意ください。